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松野ファミリーで過ごすことになって、ずいぶん裏世界に染まったなあ、と自覚はある。
彼らの片棒を担ぐわけでないけれど、わたしはわたしがいちばんかわいいのだ。
やれと言われればやるし、そもそも私を誘拐した本人の彼らを、わたしは少なくとも憎からず思っているから。


「なまえちゃーん」


へらへら笑うおそ松さんに身体をまさぐられるのにも慣れた。
彼らは約束通り、一線を超えることはしなかったけれど。
まつげを伏せて、そうっと息をはく。
ゆっくりと唇を重ねて、歯列をなぞって、舌を絡める。
漏れ出す吐息はそのままに、くちゅりと響く音も一種の興奮材料だ。


「ン、よくできました」


ふっ、と頬をうっすら染めたおそ松さんが笑う。
3年もこんなことをやってれば慣れますなんて、言う気も失せた。


「ハニー」


太い腕の中で、すりすりと胸板に頬を寄せる。
うっとりと微笑むカラ松さんももう見慣れた。
そのまま少し強引に唇を奪われるのも、息継ぎのできない荒いキスも。

誰かの唯一ではないけれど、私は確かに彼らのものだった。
私の皮膚を撫でて、うっそりとほくそ笑む。
唇を重ねて、恋人同士のようなキスをする。


「明日いける?」


一松さんの言葉に小さく肯けば、ギザギザの歯を覗かせて彼が嬉しそうに笑う。
簡単なイタリア語を覚えた、
ハニートラップを覚えた、
彼らのゴキゲンの取り方も、
キスの仕方も、
おねだりの方法も、
銃の扱い方も。


もう戻れない。
そう思っては、そっと、笑が零れるのだ。

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うたかた