02
髪がくしゃくしゃになるほど頭を撫でられて、満足したらしいおそ松さんが指示を出すと、ゆっくりと車が走り出す。
彼は、わたしの手を引いて、膝の間に座らせて、楽しそうに笑う。
「おそ松兄さんさあ、もっと物事考えて行動してよ」
「あーもううっせえなあチョロ松ゥ。おまえもさわる?なまえチャン。いい匂いすんよ」
ほれ、とわたしの手のひらを掴んで、後部座席に向けると、チョロ松さん、がうっとたじろぐ。
「なまえちゃんさぁ、何歳なの?」
「17さい、です」
ピンクのシャツの彼が、へえ、と大きな目を見開く。
「なまえちゃん大人っぽいねェ」
私の髪を弄りながら、おそ松さんが小さくつぶやく。
背中を向けているから、表情はよくわからない。
「もっと警戒とかしないの?」
「……さっき、死ぬはずだったので」
別に、と、小さくつぶやいた言葉。
だけど、あの時死んでしまえば楽だったのかな。
ぼんやりと俯くわたしに、助手席の黄色いシャツの彼がいきなり振り返って、私の頬をふにふにと柔らかく掴む。
「おれね、十四松!」
基地についたら、あそぼーね。
屈託のない笑顔に、釣られるように小さく笑う。
重い思考をかき消すようにかけられた言葉に、十四松さんの瞳をみつめる。
それからこくりと頷いた私に、彼は満足げにひとつ頷いて、前を向いた。
「はーやわらかいしいい匂いする」
すんすん、と後ろから肩を顔を埋めて、おそ松さんが笑う。
くすぐったくて身をよじると、隣の紫のシャツの人がちらりとわたしに視線をよこす。
「おそ松兄さん、そいつ嫌がってんじゃないの」
「嫌がってないでしょ。めっちゃいい匂いする。一松も嗅ぐ?」
一松さん、は、少し考えるそぶりを見せて、それから私の方に顔を近づけてくる。
「あー……雌の匂い」
……その言い方はどうなんだろう。
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