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おそ松さんに言い渡された潜入調査は、前々から目をつけていた対抗マフィアの経営する夜のお店へキャストとして探りを入れることだった。
ひとりで仕事を任せられたのははじめてで、少しばかり緊張する。


「よく出入りしてる白髪の男を見張ってくれる?」
「わかりました」
「あのね、性風俗店じゃないから無いと思うけど本番はナシ。ってか性的なサービスなんてしなくていいから」
「はい」
「……自己犠牲とかは、本当に、無しで」


俯いたおそ松さんが、何を思っていたのかはわからないけれど。
はい、と大きく頷いて返せば、少しだけ笑った、気がした。
それからノックと共に六つ子が勢揃いして、わたしの目の前に並ぶ。
小首をかしげれば、苦虫を噛み潰したように眉をしかめられてしまった。
ゆっくりと近づいてきたトド松さんが、わたしの髪をなでて、耳に触れる。


「……本当は、こんなこと、なまえちゃんにさせたくないけど」


トド松さんは、ピンクのピアスをくれた。


「なまえちゃんすっげーつえーし、すっげーカワイイから、でも、無事で帰ってきてね」


十四松さんは、黄色いストラップを、


「………セクハラされたら、殺していいから…」


一松さんは、紫のネックレスを。


「いや殺しちゃまずいでしょ。あとで始末はするけど。そんなことにならないようにね」


チョロ松さんは緑のハンカチを、


「何かあれば、すぐ連絡してくれ。俺達は、なまえを犠牲にすることを望んでいない」


カラ松さんは、青い指輪を、


「ちゃんと、帰ってくんだよ」


おそ松さんは、真っ赤なリップを。
6色を身につけて、大きく頷いて、にっこり笑ってみせる。


「いってきます」


いってらっしゃい。
微笑む6人にきっちり礼をして、タクシーに乗り込む。
少し違う日常が訪れる気配に、そっと息を吸い込んだ。

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うたかた