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軽やかな音楽が大音量で流れる店内はほんのりと薄暗い。
くるくるとカクテルを混ぜて、そっと隣に微笑む。


「新人さん?」
「ふふ、はい」
「そっか。今日から?」


微笑んで会話を交わしながら、ちらと出入口に気を配る。
チョロ松さんにみせてもらった写真の男は、どうやらこの店でも太客らしく、先輩嬢たちからの聞き込みでもなかなかの情報を得られた。


「いらっしゃいませ」


甘ったるい声が響いて、目当ての男が入店する。
嬢たちに囲まれる白髪の男は、慣れたように席に着くと、ゆったりとタバコの煙をはいた。
ちらり、と目線が合ったのはほんの一瞬で、ボーイと二三言言葉を交わした彼は、小さく笑って長い脚を組む。


「いける?」


ぽん、と肩を叩いたのはわたしに立ち振る舞いを教えてくれた先輩で、きらびやかな微笑みにこくりと頷く。
ひらひらスカートを翻して、高いピンヒールを響かせて。


「こんばんは」


笑い方を教えてもらった。
相槌の打ち方も、
目線の逸らし方も、
指先の動かし方も、
眉の下げ方も唇の動かし方も。
女の武器を余すところなく使えるように、
思った通りにことが運ぶように。
教えてくれたのは、あの6人だ。

ぽんぽんと嫌味なく交わされる会話に、流石に慣れていると感じる。
キャストの嫌がりそうな話題は避けて、穏やかに微笑む。
英雄色を好むというけれど、昔の人のいう事はあながち間違いでもないかもしれない。


「ふふ」


上機嫌に微笑めば、落ちてくれるって、おそ松さんが教えてくれたの。
想像通り、男はふっと笑って、追加のオーダーを告げる。


「いいんですかぁ」


うふふと笑って、男のタバコに火をつける。
かわいいね、と響いた言葉は、目論見通り。
ぺろりと唇をなめるのは、一松さんが教えてくれた技。
ごくりと喉を鳴らした男に、紫のネックレスがゆらりと揺れた。

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うたかた