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尻尾つかめた?
おそ松さんからの連絡に小さくため息をついて、ほどいた髪をくしゃりと撫であげる。
あれから、ターゲットに近づく事は大成功、毎度の指名も連絡ももらってはいるものの、店外での付き合いはない。
ボロも出さないし、全くと言っていいほど隙もない。
参ったなあと頭を抱えてみても、どうしようもないものはない。
潜入に当たって、ファミリーから与えられたのはグループの傘下にある豪勢なマンションの一室だった。
無駄に広い部屋は、一人ぼっちをより強調しているようで、心にぽっかり穴があいたみたい。
『なまえちゃんいねーのつまんねえよ〜』
ほとんど毎日送られてくる、何でもないようなメールが唯一の楽しみ。
フォルダをわけて、保護しているのは内緒。
『今、部屋か?』
ピコン、と軽やかな音が通知を知らせる。
カラ松さんだ。
すぐに画面を開いて、返事を打つ。
「はい。帰ってきました」
返事を送信した瞬間、すぐに携帯が震えて、慌ててスワイプする。
『久しぶり。元気にしてるか?』
受話器越しに聞こえる声は何も隔てない時と少し違う。
やっぱり直接聞きたいなあと思うくらいは許して欲しい。
「元気です。みなさんはお変わりないですか?」
『元気だよ。ちょっとピリピリしてるが』
「ピリピリ……」
『ブラザーたちもなまえがいなくて寂しいんだろ。おそ松兄さんなんて昨日は暴れて大変だったんだぞ』
クスクス笑う声が心地いい。
「ふふ、暴れたんですか?」
『自分から言い出したくせにな。チョロ松は最近あんまり寝てないみたいだし、一松は普段以上にずっと機嫌が悪いし、十四松はなまえの部屋に入り浸ってあまり出てこないし、トド松は携帯握りしめて連絡待ってる』
「そ、それは」
初耳だ。
思った以上の状況に、苦い笑いしか出てこない。
『奴さんは?』
「それが……まだプライベートに誘われてなくて」
『ふむ……距離を掴んでるのかもしれない、か?』
「わかりません。連絡はこまめで、三日に一度ほど店に訪れてはいます」
『そうか……。まあ、急いでもいい事は無いし、長い目で構えた方がいいな』
カラ松さんの言葉に、そうですね、と小さく返事をする。
どれくらい一人ぼっちで生活しなければならないんだろう。
少し気が滅入る。
『そうは言っても、早く帰ってきて欲しいのが本音だ。ブラザーたちのことを言ったが、俺も、なまえに会いたい』
ドストレートな言葉に、頬が熱くなる。
は、はい、と震える声で返事をすれば、カラ松さんが少し笑った。
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