15
「えー?何してんのお兄さん」
コツコツ。
高級そうな革靴を響かせて、肩に乗せた真黒なスーツを翻して。
口角だけをあげたおそ松さんは、目は全く笑っていないまま、からからと笑い声をあげる。
「とまれ」
目の前の男の言葉に、おそ松さんがピタリと歩みを止める。
おそ松さんの後ろにいる五人は、男を睨みつけるように眉を顰めた。
「……ねぇ、その子さぁ、俺らのなんだけど」
「悪いことは言わないから、大人しく返してくれないか」
赤と青の二人の言葉に、男がにんまりと口角をあげる。
「なんだ、この娘に随分と執着してるっていうのは本当なのか?はは、6人全員雁首そろえて馬鹿じゃないのか」
「そうだよ。すげー大切なの。だから返して」
「……きたねぇ手で、触んな」
男は楽し気に笑ったまま、見せつけるように私のスカートをめくりあげる。
おそ松さんたちは舌打ちでもしそうな顔で唇を噛んだ。
「はは、そんなに大切なのか!この女が!?」
「っ、」
ぐりぐりとこめかみに当てられる銃口が痛い。
「は、いいだろう、返してやる」
「ただし」
「――――――――そうだな、」
男は考え込むように顎に手を当てて、それからふ、と小さく笑う。
「5人でそこの―――おそ松を殺せ」
ゆったり微笑んだ男の口から、有り得ない言葉が零れる。
目を見開いて男を見つめる私に、六人の表情はピクリとも動かない。
しんと重苦しい沈黙が落ちる。
「いーよ別に。手段は問わずって感じ?」
「なるべく酷い殺し方がいいが、まあ、情けだ、任せよう」
「ふんふんなるほどね。そんじゃま、お前らやっちゃいなよぉ。無敵で素敵なお兄様に反逆のチャンスだよぉ」
ケラケラ笑うおそ松さんは何を考えているのだろう。
おそ松さん以外の5人はそっと俯いて、表情が全く見えない。
「わ、たしなら大丈夫です、だからっ」
「兄貴にはせいせいしてたしな」
「いい機会だね。世代交代?」
私の言葉を遮るように、カラ松さんとチョロ松さんが小さく笑う。
「まあ、最近調子のりすぎだよね。なまえのこと独り占めしすぎ」
「しょうがないね!」
「ええー?僕はそんなこと思ってないよぉ?悲しいなぁ」
な、なんで。
それぞれ武器に手をかけて、何でもないみたいに笑うのだ。
手が震える。
そんな、まさか。
何か考えがあるんだよね?
「じゃあな、おそ松=v
カラ松さんの形のいい唇が、にんまりと三日月を描く。
パァン、という軽やかな音が響くのと、視界に緋が広がったのは、たぶん、ほとんど同時のことだった。
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