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「遅くなっちゃったわね、ごめーん!」
ドサりと音を立てて崩れ落ちたのはわたしに銃口を突きつけていたその人で、手首を打たれたのだろう、彼が持っていた拳銃は床に滑り落ちた。
生臭い血の匂いが鼻を掠めて、場に似つかわしくない明るい声の方を振り向く。
「っ……な、にがっ」
「さっすが最強の幼なじみ」
そう呟いたのはおそ松さんだっただろうか。
ウフフと花のように笑う彼女は、長い髪を靡かせて、楽しそうに声を上げた。
「珍しいわよね、おそ松くん達が苦戦だなんて!苦手なのって女の扱いくらいだと思ってたー!あはは!」
「トト子ちゃん言うよねー……でもほんと助かったよ、ありがとう」
「うふふ、お礼を言われるのはまだ早いの。それに私にも利があったんだからいいのよ」
コツコツとヒールを鳴らして、トト子、と呼ばれたその人がしゃがみこんだ男を見下ろす。
憎々しげにトト子さんを睨みつける男をふんと鼻で笑って、額に銃口を突きつけた。
「詰めが甘いのよ、詰めが!恨みはあるから死んでもらうわね。あなた、口割りそうにないもの」
息を吸いこんだ男が何か言う前に、パァン、と小気味いい音が響いて、男が床に倒れた。
おそ松さんはひゅう、と楽しげに口笛を吹いて、男を蹴りあげる。
わらわらと小走りにそばに寄ってきた6人が、それぞれゆるりと笑みを浮かべた。
「なまえちゃん大丈夫だったー?」
「綺麗な肌に傷がついてしまったな」
すり、と優しく頬を撫でられて、ほうと小さく息をつく。
任務は失敗だ。
自分の責任で追い詰められたのに、こうして助けてくれたおそ松さんたちになんだか情けない。
驕っていたんだ、なあ。
「…………すみませんでした」
小さく俯いて、ぎゅうと唇を噛む。
歯痒くて、情けなくて、自分が嫌いになってしまいそう。
視界に赤がちらりと見えて、ゆっくりと髪を撫でられた。
「なぁんで謝んのぉ?」
「………………折角、任せてもらったのに、失敗しました……」
「うん?ハニーはこれを失敗だと思ってるのか?」
心底不思議そうなカラ松さんの声音に、そっと顔を上げると、きょとんとした瞳がこちらを見つめていた。
「成功でしょ、これ。身元割れたし殺したし」
「なまえちゃんブチ犯されそうになったのはヒヤヒヤしたけどねェ」
「だいじょーぶ?何もされてない?」
「ケータイのメモリ、消されてて流石だけどね。これくらいなら復元できそうだし、詰めが甘いよねぇ。ほんとお手柄なんだよ、なまえちゃん!」
くるくる代わる代わる声をかけられて、ぱちくりと瞬きをする。
え、だってわたし、捕まって殺されかけてたのに。
「なまえちゃんのお仕事はさぁ、ほんとはこんなことじゃねえし。これはオマケみたいなもんなんだから、俺達のこと頼ってよ」
そんなふうに、優しく笑いかけられて、赤くなるなっていう方が無理だと思う。
真っ赤になった私を見て、おそ松さんが可愛いねえ、なんてからから笑って、わたしに唇を寄せる。
それを見たチョロ松さんがすかさずおそ松さんの頭を叩いて、カラ松さんが私を抱き寄せて額にキスをして、一松さんがカラ松さんを引き剥がして蹴り飛ばす。
十四松さんがわたしの手のひらを握ってにっこり笑うと、トド松さんが私の頬を撫でてお疲れ様、と笑ってくれて。
「ちょっとぉ。トト子無視するとか偉くなったじゃないの」
むっつり、不機嫌な美少女に腕組して見下ろされて、ひやりと背筋が凍った。
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