誕生日小話08


結局、おそ松さんとホームに帰ってきたのは日付が変わって10分ほどたってからで、車を降りると5人が玄関の前にしゃがみこんでいた。


「遅い……10分遅刻……」
「おそ松兄さんばっかりずるいよー」
「フェアじゃねっす!」
「フッ、少しおいたがすぎるぜ、ブラザー?」
「ってか言い出しっぺだろ。ちゃんと守ってよ」


眉を寄せる5人に、おそ松さんは肩をすくめてゆるく首をふる。


「かー、やだやだ、男の嫉妬は見苦しいねえ。ってかさあ、俺のおかげでいい思いできてんでしょー?ちょっとくらい俺にサービスしてくれたって罰はあたんないよー!」
「その考え方が最悪だよ」
「ほんっとクソだよね」
「うるっせえ!ってかお前ら!もうお前らの番終わってんじゃんか!寝ろ!」
「おそ松兄さんは絶対抜け駆けすると思って見張ってたに決まってんだろ!」
「なまえは優しいからな、おそ松の駄々にも付き合うだろう」


子どもみたいな言い合いと、眉を釣り上げて怒る6人。
この人たちのこういうところが、憎めないんだよなあ、好きなんだよなあ、と、思う。


「別にいいし!俺なまえと星空デートしたしー!!」
「僕膝枕してもらったー!」
「ハイハイハイハーイ!おれね、おれ、好きって言ってもらっちゃった!!!」
「俺抜かせてもらった」
「僕のこともっと知りたいって言ってくれた」
「俺はなまえから熱いベーゼを貰ったぜぇ」

「「「「「「んだとコラァ!」」」」」」


どたばたと、真夜中にも拘らず元気に兄弟喧嘩を繰り広げる6人を横目に、そっとあくびをかみ殺す。
昨日はあまり寝れてないし、瞼がひどく重い。
正直、はやくシャワーをして寝てしまいたい。


「なまえちゃん死ぬほど眠そう!!」
「ごめんねなまえちゃん、もうねよー!」


トド松さんと十四松さんに手を引かれて、屋敷の玄関をすり抜ける。
一松さんが赤いドレスをひったくるように脱がせて、チョロ松さんがタオルを被せてくれて、脱衣場の鍵がかけられる。
眠気と格闘して外に出ると、ドライヤー片手のカラ松さんが部屋まで手をつないでくれて、髪も乾かしてくれた。
おそ松さんがわたしをベッドに転がして、足首に鎖をつけた。


「なまえちゃん、1日ありがとう。おつかれさま」
「……はい」
「1日頑張ってくれたなまえちゃんに、俺らから感謝の気持ち、ね」


くふりと笑をたたえたおそ松さんが、胸元にそっと唇をよせる。
カラ松さんは頬に、
チョロ松さんは首筋に、
一松さんは手首に、
十四松さんは手のひらに、
トド松さんは髪に。
それぞれ1度だけキスを落として、満足げに笑う。
キスの場所に意味があるのだっけ、と、頭でぼんやり考えはするものの、思考がうまく働かない。


「おやすみ」


どろりと、甘い声は誰のものだったっけ。
ついに瞼を閉じれば、くすくすと、笑い声が響いた、気がした。

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うたかた