05


にこにこと、人の良さそうな笑みを浮かべて。
その実、全く笑ってはいないくせに。
トド松さんの手のひらが、愛しげに私の髪をなでる。


「ふふ、かわいい」


それはとてもどろりと気味の悪い響きとなって私を襲う。
するり、と、トド松さんの手のひらを掴んだのは、青いシャツのたくましい腕。


「彼女が怖がっているだろう」


怖がらせるつもりはない、というけれども。
男らしい体つきも、太ももに巻き付けられた銃も、何もかもが私を恐怖に突き落とすようだ。
ちら、と視線を投げれば、当たり前だろうけれど六人全員が銃を携えていて、どんよりと気分が濁る。
こんな、しがない一般市民を、彼らはどうするつもりなんだろうか。


「なまえちゃんいい匂いすんね!」


勢いよく私の真隣に陣取ったのは十四松さんで、ニコニコ笑って私に目線を合わせる。


「これが雌の匂いってやつっすか!」


底抜けに明るい彼に、ぞわりと背筋が寒くなる。
視線を落とした先の彼の黄色い靴下は、半分位赤黒い液体が跳ね返ったように汚れていて、それが何か、考えるのを脳が拒否する。
半分パニックになりそうな私の目の前に、コトリとペットボトルが差し出された。


「一般市民怖がらせんのやめろって……」


そう言って、目の前の4人を追い払ってくれたのは、チョロ松さん。
薬とかははいってないよ、と一言言い置いて、目線も合わせずさっさと先ほどの場所に戻ってしまう。


「俺達松野ファミリーっての」


やっぱりか。
にんまり、無邪気に笑うおそ松さんがどうしようもなく怖い。
慌てて押し込んだスポーツドリンクは、うまく喉を通ってくれなかった。

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うたかた