鬼ごっこ−3
2人の後に続いていくと、メリーゴーランドがあった。朝祇が着いてすぐ、突如として動き始めたそれは、閉鎖されて電源を落とされているはずの今は有り得ない様子だった。さすがにこれは静観してもいられず、燐たちに近寄った。
「なんでいきなり…」
「うお、一ノ瀬!悪い、完全に忘れてた」
ばか正直に申告する燐に苦笑する。燐のそういうところは嫌いではない。
「いいよいいよ、お邪魔しないようにしてたからさ」
「〜〜〜!一ノ瀬!」
「冗談だって。それより…」
一気に照れて睨み付けてくる燐をいなし、しえみと燐にメリーゴーランドの方を向かせると、2人は驚いた。
そこには、馬に乗る小さな男の子がいた。しかし、男の子には足がない。ゴーストだ。
「……ねえ、君、どうして泣いてるの?」
「おい、悪魔に話し掛けんな」
「でも…泣いてるよ」
話し掛けたしえみに、燐は焦る。悪魔が言うのか、とは思うだけだ。燐はゴーストの方を向くと、「おい!いつまでメソメソしてんだ!」と怒鳴り付けた。ゴーストはさらに泣き出す。
「燐!」
「うっ…でもよ、」
すると、ゴーストはしえみの胸に抱き着いた。燐がさっと怒りに顔を染めるも、しえみは落ち着いて受け止めている。
「僕、体が弱くて、ずっと入院してたんだ……元気になったら、ここに遊びに来ようねって、お父さんと、お母さんと、約束したのに、死んじゃったから、もう、誰とも…!」
「そっか…寂しかったね…」
泣きながら話す幼い少年のゴーストに、しえみは優しく微笑み、頭を撫でる。
しんみりとしかけたその時だった。
「うっせえババア!」
ゴーストは思いきりしえみの胸を揉み、直ぐ様離れる。思わず燐も朝祇も、しえみでさえも、呆然とする。
「へへっ、騙されてやんの〜!あっかんべ〜」
「…っんのクソガキ!俺だって揉み…待てゴラァ!!」
本音を小声で漏らしながら、燐は憤怒の形相で逃げるゴーストを追い掛けた。朝祇も走り出すが、しえみが遅れないよう、しえみのすぐ前をキープする。