いざ米国−5
いったいなぜこんなことに、と朝祇は遠い目をせずにはいられない。
結局言いくるめられて一緒に風呂に入ることになったが、ライトニングが先に体を洗ってからバスタブに浸かり、そのあとに朝祇がシャワーを浴びて体を洗った。
ライトニングはじっと朝祇の体を見ながら、いくつか質問をしていく。それは、黄龍が憑依したときのことや先祖のことなど多岐にわたった。
「なるほど、じゃあ君のお母さんはおろか、第一次世界大戦の前にはもう家業として降魔術をする者はいなくなったんだ」
「文献によれば。俺が黄龍に出会って初めて明陀宗に出会って、そして正十字騎士團に来ました」
「なるほどねぇ。タオイズム…道教の、あー、日本のは陰陽師か、それによって黄龍は封じられているのに君にさらに憑依する、なんてのはなかなか奇特な例だ。とても興味深い」
ライトニングはそう笑うと、うっとうしくなったのか濡れた前髪を後ろへ思いきりかきあげた。
すると、意外にもつぶらな、大きめの目が現れる。オールバックになったライトニングはかなり甘い顔立ちで、普通にそうしていれば女性からの人気も出るだろうに、と思わずにいられない。
「さて、そろそろ詳しく見せてもらおうか」
体を洗い終え、いたずらにシャワーを流していたのはバレていたらしい。朝祇は観念してシャワーを止める。
「こっちおいで」
「…まさか、そのなかですか」
「うん。見やすいからね」
まさかのバスタブの中に一緒に入るよう言われてしまった。なかなか大きなものだからそう窮屈ではなさそうだが、距離は近すぎる。だが生娘でもない、あまりライトニングの手を煩わせるのも嫌だったため、素直に従う。
「素直だねぇ。いいことだけど、悪い人だったら食べちゃうよ?」
「悪い人なんですか?ライトニングさん」
「もしもの話さ。さぁて、どういう仕組みなのかなぁ〜」
目元が出ている分、楽しげな様子がはっきりと分かった。少し落ち着かない。
朝祇はバスタブでライトニングと向かい合うように膝立ちになっている。ライトニングの足の間だ。
そして、ライトニングは指でつつ、と朝祇の体の表面を浮かぶ黄色い線をなぞり始めた。ぞわぞわとしたものが駆け上がるが、これは医者に聴診されているようなもの、気にしてはいけない。
「悪魔の力を感じるのは表面だけ…」
ライトニングはぶつぶつ呟きながら他の色の線もなぞり、漢字や五芒星もじっくりと眺めた。熱いお湯から立ち上る湯気が浴室を満たす。
「膵臓の位置に…なるほど…」
その節くれだった指はだんだんと胸元へと上がってきて、さらにぞわぞわとする。まずい、と思って無心になろうと意識する。
しかし、その指が胸の先を掠めた瞬間、ぴくりと肩が震えてしまった。ぴた、とライトニングも止まる。
「げほっ、げほっ…」
慌てて咳払いをして誤魔化す。羞恥を自分が感じる前に自分すら騙すのだ。まったく反応などしていない、これはただの咳を我慢しただけだ。
「……、」
だが、ライトニングはつん、と思いきりそこを突いてきた。ピンポイントかつダイレクトなそれに、思わず「ぁっ、」と小さく声が漏れる。
「…ここ、感じるの?」
「ち、違います!!」
「ほんと?ほれ、」
「ひっ、ん、ちょ、やめ、」
ライトニングはニヤリとしてそこを指で摘まみ弄り始めた。廉造に開発されきったそこは、そんな些細な刺激でも快感を伝える。
声が浴室に響くのが恥ずかしすぎて、口元を手で覆う。だがライトニングはさらに、胸の飾りにちゅっとキスを落としたと思えば、ぺろりとそこを舐め上げた。さらなる刺激によって背中が弓なりになる。
「…っ!はぁっ、ん、くっ、」
「……はは、いやぁ、顔が綺麗だと男とか気にならないもんだねぇ…」
「やめ、て…ん、くださ…!」
「おっと、まだ15歳か、アメリカでも日本でも犯罪だからそろそろやめるか…責任持って抜いてあげよう」
「はっ!?ちょ、んぁ、っあ!」
ようやく年齢差に気付いたライトニングは事案に片足突っ込んでいることに目覚めたのか、朝祇の自身を扱き始めた。お湯がザバザバと音を立てる。
焦らしたりはしないようで、急速に責め立てられてすぐに昂る。頭が霞がかっていて、思考が鈍った。
「ぅあっ、ん、はぁ、っぁ、」
「いいよ、イっちゃいな」
「―――っ!!」
そしてその次の瞬間、お湯の中に白濁が放たれてがくりと力が抜けた。
逞しい肩口に頭を預け、上体をこれまた逞しいライトニングの体に凭れさせてしまう。視界が全体的に薄暗く、回っているようだ。
「こらこら、そんな可愛いことしてると止まらな…あっ、やばい、逆上せてる…?大丈夫かい?」
「……やっぱ、わるいひとだ」
呂律が回らずくったりとしてしまう。だが、ライトニングは気にした風でもなく朝祇を抱っこするように持ち上げた。
「聞いてないよフェレス卿、こんな魔性の可愛い系男子だったなんて…ぼかぁストレート一筋のはずだったんだから、勘弁してよ…」