Stoic Love−5


その後、警察が呼ばれ、様々な対応は勝呂がしてくれた。冷静に対処してくれたおかげでスムーズに進み、夕方にはアパートに戻ってこれた。証拠も多かった上に現行犯とくれば立件は容易く、この手の事件で役に立たないことで有名な警察も仕事をしてくれた。

2人で慣れたようにベッドに座る。スーツはすべてクリーニングにまとめて出してしまったため、新しく出し直した。


「…なんか、ほんと、お礼言っても言い尽くせないな」

「…そないに大層なことしてへん」


ぽつり、と言葉が落ちるだけの静かな空間。いつもはもっと会話が弾むのだが、出会ったばかりのようだった。
事件は解決された。ということは、付き合っているように見せる必要はもうない。勝呂は一匹狼に戻るのだろう。


「なんか…ちょっと、残念かも、なんて」

「…?」

「…俺は、勝呂と過ごす時間が好きだ。だから、もっと一緒にいたい…そう思ったら、もちろんストーカーは気持ち悪いけど、口実にできたのに、なんて」


ちょっと引かれるかな、なんて思ったが、素直な気持ちだ。事件が解決していない間は、勝呂と付き合っているフリ、なんて言って一緒にいられる。


「…なんか乙女みたいなこと言ったな、ごめ、っ!?」


すると突然、勝呂に抱き締められた。ことあるごとにこうやって勝呂に抱き込まれているようか気がする。すっかり慣れてしまった。


「…なら、ホンマの関係になればええ。こないなタイミングで言うべきやないのかもしれへんけどな、俺は、お前とホンマの恋人になりたいて思っとる」


そして上から聞こえてきた言葉に耳を疑った。まさか、勝呂がそんなことを言うとは思わなかったからだ。それに対して、千秋はまったく嫌だとは感じなかった。むしろ、沸き上がるのは喜び。


「弱っとるところにつけこむみたいで、すまん」

「…全然そんなことない。嬉しい、嬉しいよ、勝呂…!」

「…え、二宮、それ、」

「好き、勝呂。勝呂のことが、好きだよ」


仕方ないだろ、と半ば言い訳のように内心で思う。ストーカーなんて恐ろしいものに遭って、それに無償で守ると言ってくれた。一匹狼だったのにずっと側にいてくれて、今までのどの友人よりも色んな話をした。
好きにならないほうが難しい。


「ホンマか、ホンマにええんか」

「勝呂と、一緒にいたいんだ」


勝呂は一度体を離すと、至近距離で目を合わせた。自然、さらにその距離は近付いて、2人の唇が触れあう。そこから、じんわりと温もりが全身に広がるようだった。


「…好きや」

「ん…」


呟くように勝呂が言うと、再び唇が重なる。今度は、少しずつ舌を絡めて深くなっていく。


「…さっき、どこ触られたか、聞いてもええか」

「…あいつに?」

「せや。…正直、我慢ならん」


今まで一人を好んでいた勝呂が、そうやって独占欲を示してくれていることに嬉しく感じた。もうそう思うなんて、自分もかなり勝呂が好きなんだな、と実感する。


「そんな触られてないかな…腰と、」


素直に答え始めた途端、勝呂は腰を撫でる。シャツの下に武骨な手が入り、つつ、と柔く撫でられた。くすぐったいような気持ちいいような感じがして、ぴくりと肩が跳ねる。


「ん…っ、」

「嫌やったら言うんやで」

「嫌じゃ、ない」

「…そうか。他は?」

「…、乳首、とか、」


声に出すのが恥ずかしくて小声になると、勝呂の手は腰から上がってか胸元に至った。突起に触れると、痺れるような感覚が広がる。


「んん、」

「触られただけなんか」

「…、」


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