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そのあとの授業では、講師たちが朝祇を見るたびに笑いを堪える羞恥地獄が続き、普段より何倍も疲れはてたところで授業が終わった。もちろん、疲れとは精神的なものだ。

そんな授業中、さらに困ったことがあった。それは、視界にちらつく燐の尻尾だ。燐の感情に合わせて揺れるため、どうしても目で追いかけてしまった。だんだん気になって集中できなくなり、間近で追いかけたくて仕方がなくなってしまったのである。

そこで、授業が終わると同時に、雪男から出された課題に取りかかるため残ることにしたらしい燐の後ろに移動した。廉造たちはポカンとしていた。
燐は気付いておらず、朝祇が後ろに座ってもテキストに没頭している。

燐の尻尾はふよふよと空中をさ迷い、課題につまづいて苛立ち始めた燐の感情に合わせ左右に揺れ始めた。
それを目で追い、確実に掴めるタイミングを見計らう。

そしてここだ、と思った瞬間、がばりと立ち上がって尻尾を鷲掴みにした。途端に燐は叫んで飛び上がる。


「いってぇ!!おい何すんだ!!」

「そこに尻尾があったから…」

「理由は聞いてねえよ!こんにゃろ、仕返しだ!」


振り向いた燐は、チンピラ丸だしでキレるなりこちらに掴みかかってくる。狙われたのは朝祇の尻尾で、そんなところを狙われたことはなかったため反応に遅れた。
そうして、尻尾を思いきり掴まれてしまった。


「ぅあっ!!」


耳と同様、掴まれた瞬間じくじくとするような快感の波が押し寄せてきて、思わず声が出てしまった。燐はそれを聞くなりぴしりと動きを止める。


「は、なせよ…!」

「あ、わりぃ」


燐は慌てて手を離すが、袖で口元を隠して耐える朝祇を見て、耳を赤くして目を泳がせた。
しえみと出雲が帰ってくれていたことだけが幸いだ。

「奥村く〜ん、俺の朝祇に何してくれはるの〜?」

「い、いや、知らなかったんだって、俺の尻尾は痛い系だし!?性感帯系じゃねえし!?」


すると、廉造が薄ら笑いを浮かべながら朝祇を後ろから抱き締めた。目が笑っていない。


「そないな奥村君には、坊が超スパルタ指導してくれはるさかい」

「おい廉造!…ったく、今日だけやぞ…」

「げえっ!?マジで!?」

「あー、僕もお供します」


珍しく廉造が勝呂を使うようなことを言ったが、勝呂は察して妥協してくれた。そういうところは本当にいいやつだと思う。子猫丸も勝呂についているらしい。
廉造は礼を言って朝祇を立ち上がらせ、教室を後にした。



***



寮に戻ってくると、廉造の部屋に入り、ベッドに廉造が腰掛ける。朝祇も続くと、手を出して制止された。


「ちょい待ち。朝祇、朝祇かてあないなところでエロい声出すなんて、何考えとるん?俺がおらんかったら何が起きてたか分からんねやで?」

「そんな、」

「もうちょい危機感持ってぇな。ちゅーことで!とりあえず、下、脱ぎ?」

「え……」


廉造はニッコリと笑う。しかしその言葉はとんでもないものだった。


「自分、ホンマ魅力分かっとらんさかい、教え込んだる。ええからはよしぃや〜」


笑顔なのに圧力がすごい。仕方なく、朝祇はスラックスを脱いだ。怒っているわけではないのだが、ただ楽しんでいるわけでもなさそうだ。


「下着もな」

「…、分かったよ…」


言われるがまま下着も脱ぐ。そうすると、もはや廉造に借りた大きめのパーカーしか纏っていなかった。ギリギリ大事なところは隠れるくらいだ。


「こっちおいで」

「ん……」


手招きをされて、朝祇は廉造に近付く。廉造は朝祇の手を引くと、自分の膝に股がらせるように座らせた。向かい合うようにして廉造の膝に座っている状態だが、廉造は足を開いて座っているため、正確には膝の間のベッドに座っている。足は廉造の膝の外側に三角座りのようにして投げ出している。


「廉造……」

「んー?」

「怒ってんの…?」

「どーやろーね?」


やはり怒ってはいないようだが、それでも圧力はある。それが少し悲しくて、朝祇はつい目の前の肩に顔を埋めるようにして抱き着いた。腕を控えめに背中に回してぎゅ、と握る。
すると、廉造は耳元でくすりと笑い、朝祇の後頭部を優しく撫で付けた。


「主人に怒られて甘えるネコみたいやね?」

「…まぁ、今は、ネコだし……怒んなよ……」

「怒っとらんよ、分かっとるやろ?」

「それでも嫌だ。寂しい」

「…、椿先生が子猫ちゃん言うてはったのも分かる気がするわ…」


そう言って、廉造は朝祇の背中に手を這わせ、そのまま下に下ろした。


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