不浄王編番外3 京都観光編


●不浄王編後
京都観光をする話


いよいよ全員の支度が整い、旅館の玄関に集まる。たまに通りすぎる祓魔師が微笑ましそうにしていた。
そういえば、全員が余所行きの私服で集まるのは初めてかもしれない。

燐はテリヤキと書かれた謎のTシャツに紺の半ズボンで、観光冊子を持って刀を肩にかけている。
しえみは浴衣で、出雲はノースリーブのシャツにショートパンツ、ハートのトートバッグ。
勝呂はTシャツにベージュのジャケットの袖をまくり、デニムの短パンを履いている。ペンダントやキャップなど意外と洒落っ気があった。
子猫丸はもっと洒落ていて、柄Tシャツにサルエルパンツ、麦わら帽子となかなか高度でテクニカルなコーデだ。
雪男はシャツにベスト、ロールアップしたグレーのチノパンと真面目で、宝は丸襟のシャツに蝶ネクタイ、ベストとお坊っちゃまな姿をしている。

廉造はグラデーション柄のTシャツにパーカー、青の長ズボンでトートバッグを肩にかける。
朝祇は白のスキニータイプのチノパンに濃紺のシャツで、ライトブルーのカーディガンをプロデューサー巻きにしている。財布とスマホだけチノパンの尻ポケットに突っ込んでいるが、あとは荷物は持っていない。廉造に任せている。

まずは目的地を決めなければならない。ワクワクとしている燐としえみは今にも歩き出しそうだ。


「やっぱベタなんがえーやろ、まずは金閣寺さんかいなぁ?」

「何言うてはるの志摩さんは、まずはここから近い東寺さんやろ。道順考えて目的地行かんと全部回れへんで」


そんな廉造の提案はすげなく子猫丸に却下され、スマホ片手に子猫丸はテキパキとルートを策定していく。
他のメンバーに子猫丸が行きたい場所を聞いている間に、 朝祇は廉造にぽつりと呟く。


「修学旅行とか、ああいうの一人いると楽だよな」

「任せてまうわ〜。てか朝祇は修学旅行どこやったん?やっぱ京都?」

「九州縦断だった。鹿児島から福岡まで」

「へー、珍しなぁ。日本の中学生は皆京都来るもんやと思っとった」

「正十字学園の中等部はフランスとドイツだよ?私立はカナダとか韓国とか、無駄に海外志向なんだよね」

「えっ、俺ら私立やったけど北海道やで?」

「…ほら、海外じゃん?文字通り」


そんな道産子に怒られそうなことを言うと、燐がズバリと手をあげた。


「お・れ・は!京都タワー!!」

「え!?京都他に見るとこあるよ!?」

「ホンマかいな」


燐の要望に、やはり子猫丸は驚き、廉造は呆れ顔になった。市民的にはやはりナンセンスなのだろう。ちなみに東京都民だった朝祇にとっても、京都タワーより高い建物など履いて捨てるほどあるので、特別興味はなかった。


「あれは外から見る用だよね」

「あー、それは分かるわ」


タワーがある気色が良い、というのはある。横浜ランドマークタワーなんかが典型的だ。あの展望台からの夜景はまったく大したことはない。ランドマークタワーを含むみなとみらいの夜景を大桟橋埠頭から臨むのが良いのだ。


「頼む!来る前から目ェつけてたんだーっ!!」

「サタンの息子たっての願いやし聞いてやりぃ。燃やされんで」

「俺まだそんな印象!?」

「分かりました、サタンの息子さんの仰せのままに…」

「子猫丸まで!!」


蟠りはすっかり解消されたようで、もうからかわれ始めていた。まぁ逆にいい機会かもしれない。自分では行かないであろうところに行くことになるのも団体行動の醍醐味だ。
子猫丸は素早くルートを決めると、いよいよ京都観光が始まった。


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