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目が覚めると、部屋は暗闇に淡くオレンジの光が照らしていた。
ベッドから起き上がり光源を見れば、デスクライトに照らされて銃を整備するライトニングの姿があった。
「…運んでくれたんすか」
「そうだよ。今は4日の午前2時、ここはザルツブルクの騎士團施設」
どうやら意識を失ったあと、ライトニングが騎士團の宿泊施設まで運んでくれたらしい。広めの寝室にベッドがひとつ、大尉に与えられたものだろう。ベッドを占領してしまっていたが、どうせ作業が終われば潜り込んで来るはずだったため、特に謝ることはない。ただ、礼だけは言っておいた。
「…どーも」
「いーえ。それより、調子は?」
「問題ねっす」
力を酷使し過ぎただけだ、寝れば快復する。ライトニングは安心したように頷くと、作業を止めてこちらにやって来た。ふわりとシャンプーの匂いが香る。さすがに戦闘の後だ、風呂に入ったようだ。
「そっか…」
ライトニングはギシ、とベッドに音を立てて乗ってくる。ゆっくりと玲弥に覆い被さるように乗ってきたライトニングの目は、語らずともこれから何をする気か容易に悟らせた。
「この一週間、君を抱こうとするやつらを牽制するの大変だったよ。ここに着いてからもね。君に宛がわれた部屋、列ができてて笑っちゃった」
「……廻されるか、あんたに抱かれるか、ってことすか」
「人聞きが悪いなぁ。まぁ、否めないけど」
ベストは脱がされていたようで、シャツの下に手が入ってくる。銃を弄っていたからか冷たいが、それは気にならない。
武骨な指は腹筋をなぞり、そこから胸もとに至り、敏感な部分をきゅっと摘まんだ。
「んん、」
「かーわい…」
「っるせぇ…ぅあっ、ん、」
熱に浮かされたように呟くライトニングは、一気にシャツをたくしあげ、晒された胸もとに吸い付いた。悪態をつこうにも、鼻にかかったような声が漏れるばかりだ。
「きもちー?」
「…ん、知るか、はっ、ん、」
「快感の中だとなけなしの敬語もなくなるよね。ほんとにかわいーなぁ」
ライトニングの言う通りだ。この男に抱かれた回数も少なくないが、辛うじて残していた敬語すらなくなってしまう。
「まぁでも、アメリカはあんま前戯しないし。僕もけっこー限界だから、さっさと入れさせてね」
やはり、一週間の戦役で溜まっていたらしい。兵士たちが玲弥の部屋に列を成していたのもそれによるのだろう。
ただ、その男たちに廻されるよりは、なんだかんだ優しいこの男に抱かれる方が良かった。そう思えば、この一週間常に守ってくれたライトニングに、今も守られているのかもしれない。
ローションを絡ませた指を玲弥の後ろに差し込むライトニングの、逞しい腕をそっと掴む。
「ん?」
「…や、なんでも、んっ、ない、」
伝えようかとも思ったがやめた。柄じゃない。思わせ振りなことをするなとばかりに、ライトニングは指を中で暴れさせた。
「ぁあっ、!んっ、ふざけ、」
「気になるなぁ〜、言わなきゃ奥歯ガタガタ言わせちゃうぞ」
「んあぁっ!やめ、ん、!」
指が二本に増やされ、前立腺を刺激されて激しい快感が沸き上がる。ただでさえ疲れているのに、そんなことをされては堪らない。早々に諦めて口を割った。
「はぁっ、ん、知らない、やつらじゃなくて、んっ、ライトニングで、良かった、って…、」
拙い言葉ではあったが伝わったらしい。軽く息を飲むと、ライトニングは指を引き抜いた。
「ほんっと、君にハマると、抜け出せないよ…っ!」
「ぅあっあぁっ、!!」
ライトニングはまったく余裕のない声で言うと、自身を玲弥の中に埋めてきた。アメリカ人らしく、それはかなりデカイ。
「ぁっ、腹、いっぱい…っ!」
「…はっ、もう、黙っとけ…!」
珍しく荒々しい口調でライトニングは呻く。そして、激しく律動を開始した。ガツガツと腰を打ち付けられ、頭がショートするかのようだった。ほんの少しの痛みですら快感に変わり、余裕なく貪るように腰を動かすライトニングの雄っぽさにドキリとした。
余裕があるときは体位を変えたり緩急を変えたりして、二時間以上は相手をさせられるのだが、今日は本当に余裕がなく溜まっていたようだ。もしくは、いつもより疲れはてた玲弥への配慮もあったかもしれない。
15分ほどで、ライトニングも玲弥も限界を迎えた。
「ぁあっ、んっ、!ひっん、ぁっ!」
「っ、く、玲弥…っ、も、イきそ…!」
「お、れも、ぉっ、!ん、!」
「…っ!!」
「イ、く……っ!!」
中に熱いモノが吐き出される感覚とともに、玲弥の自身も白濁を腹にぶちまける。びくつくライトニングの自身が落ち着く頃には、二人の荒い息遣いだけが響いていた。
「はぁ…はぁ…中出ししちゃった」
「うわ…はぁ、…さいてー……、」
先程の空気はどこへやら、ヘラりとするライトニングに、ようやく悪態をついてやった。玲弥はライトニングの手を掴んで、手の平を向けさせると、そこに中に出されたライトニングの精を転移させた。
空中からドロリと溢れるそれに、自分の出したモノのくせにライトニングは「うわっ」と引いた。
「こんな情緒ないことできるの、世界で君だけだよ」
「良かったっすね、レアな経験できて」
ライトニングは手を拭き、ついでに玲弥の腹も綺麗にすると、ベッドに倒れ込む。そして、先程汚した方とは反対の手で、玲弥の頭を撫でた。
「まぁ、何はともあれ、今回は特によく頑張ったね。えらいえらい」
「…あんた、ズルい」
「大人だしね」
「おっさんだろ」
なおも悪態はついたが、玲弥はその胸もとにすり寄った。最前線で、玲弥より強い人間など限られる。特に、世界で唯一という肩書きの者はライトニングしかいない。玲弥より圧倒的に強いからこそ、素直に甘えることができた。
「…おやすみ」
可愛いなどと茶化すことはなく、ライトニングはただ頭を撫でて、甘い声でそう言うに留めた。こうやって細かい機敏を察してくるのも、この大人の狡いところだ。
厚い胸板に額をつけて目を閉じることでそれに返し、もう一度玲弥は眠りに落ちた。