Contemporary II: the sin
−WWII



1939年、9月1日。


「ポーランドさん!ドイツ軍が侵攻してきました!」

「えー!ありえんしー!」

「東プロイセンからも侵攻が確認されています!」

「騎馬隊準備ー。俺はリトに電話してくる」

伝令を受けたポーランドは、普段より若干行動スピードを早めて動いた。

ドイツ軍は最新の兵器なのに対し、ポーランドはいまだ馬が主戦力だ。

ポーランドとて、勝ち目がないことは理解していた。

「リトー?なんかドイツが攻めてきたんよー」

『えー!?大丈夫なの!?』

「大丈夫じゃないしー。イギリスたちがどれくらいやってくれるかも分からんし、やばいわー」

「ポーランドさん!東からロシアが、」

「はあ!?つんだわー」

『え、ちょ、ロシアさんって、』

「てわけで俺行ってくるしー」

『いやいや、ほんと大丈夫!?』

「…、リトも気を付けろし」

『え…?』

リトアニアの言葉を待たず、ポーランドは電話を切る。

「…ま、俺ならまた復活するしー」

つとめて明るい声を出したが、受話器を握る手は震えている。

イギリスの上司は無能、フランスはこちらに手を回せない、ロシアは敵。

「…誰か…、」






たった三週間でポーランドは制圧された。

ドイツとロシアにより東西に分割され、軍は壊滅した。





「ロシアちゃん…」

「兄さん…」

「ついてきて、くれるよね?」

ついでロシアはウクライナ、ベラルーシを占領し、さらにバルトへ侵攻。


「ポー…俺も、だめみたいだ…」

つきつけられた銃口に、リトアニアは両手を挙げる。


隣ではラトビアとエストニアも同じようにしていた。

10月までにバルト併合を行ったロシアは、さらにフィンランドへ侵攻した。

それによりロシアは国際連盟を除名されたが、もはやそんなことはさしたる問題ではなかった。


中立国スウェーデンの密かな支援もあって、翌年3月にカレリア地方をロシアが奪った状態で一応は停戦した。

一方、北海周辺も緊張が高まっていた。


中立国であるスウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アルレシアは、ドイツ封鎖の重要性から連合側で緊密な議論が成されていた。

ドイツはオランダやベルギーへの侵攻を考えており、この地域の開戦は場合によってはないものにもなりえ、今がチャンスだったのだ。

北海地域の中立国は独自の外交ルートをドイツと持っていたが、特にアルレシアは不可侵条約を結び、スウェーデンやノルウェーも普通にドイツとの貿易を行っていた。

アルレシアは不可侵条約があるため連合側はとりあえず保留、ノルウェー、スウェーデンへの協力を求める方針で一致した。


「悪いな、集まってもらって」

イギリスはスウェーデン、ノルウェー、アルレシアをオスロで集め、会議を開いた。

「なんの用だよ、チェコとポーランドを見放した連合さん」

アルレシアは辛辣な言葉とともにイギリスを一瞥する。

「…、いろいろあったんだ…それより、今日集まってもらったのは頼みがあるからなんだ」

「はやぐ言えこの」

ノルウェーも苛ついたように言う。

「分かった分かった…まずアルレシアだが、将来的に協力を求めるかもしれないから、こちらもの外交ルートを緊密にして欲しい」

「…まぁいいけど。同じことドイツにも言われたから、了承した」

「うっ…まあいい。で、ノルウェーとスウェーデンだが…マルムバナン鉄道をこちらに預からせてくれないか」

その途端、スウェーデンがものすごい目付きでイギリスを睨んだ。

アルレシアもあんまりな要求に呆れてため息をつく。

ノルウェーのイライラも最高潮だ。

マルムバナン鉄道は、ノルウェーのナルヴィクからスウェーデンのルレオを結ぶ鉄道だ。

ナルヴィクはスウェーデンからの鉄鉱石をドイツなどに輸出するための港である。

ルレオはボスニア湾に面した港だ。

「いやほら、フィンランドのために救援を送りたいんだ。ついでにドイツ封鎖もできて一石二鳥だろ?」

「三鳥だない。俺ん家の鉱山も奪える」

スウェーデンは睨み続けながら唸るように言った。

「…、」

言葉につまるイギリスに、アルレシアはさらにあきれた。

「中立侵犯だぞ」

「そんなつもりじゃねえんだけどな…」

「話すことなんてね」

ノルウェーは立ち上がってイギリスを睨む。

「勝手にやれこの」

「俺もけえる」

スウェーデンも話すことはないと踵を返した。

去っていく二人を見ながら、イギリスは肩を竦めた。

「やっぱだめか」

「当たり前だろあほか」

アルレシアは軽くイギリスに肩パンを食らわせる。

「いって、」

「余所を見下す癖、やめた方がいいぞ」

アルレシアはそれだけ言ってその場を後にした。



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