Contemporary II: the sin
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デンマーク侵攻と平行して、ドイツはノルウェーへの侵攻も行った。

オスロやナルヴィクを含む6つの都市へ上陸し、一気に制圧を図る作戦だ。


ノルウェーは首都オスロで戦闘に参加することにした。


オスロはオスロフィヨルドという巨大な入江の奥に市街が広がる。

フィヨルドの入り口から市街までは複雑な地形になっており、両岸に軍港や要塞が点在する。

フィヨルド全体がひとつの要塞のようなものだ。

ドイツ海軍はフィヨルド入り口からオスロ市街と軍港の2つを同時に制圧するため湾内で分派するが、ノルウェー側の猛攻に合う。

海上では苦戦を強いられたドイツ軍だったが、空輸部隊がオスロ市街に入り戦闘を開始した。

王宮にいたノルウェーはすぐさま銃を構え、国王や内閣閣僚を守るべく市内を走るドイツ軍に向ける。

「ノルウェー君、どれくらい持ちそうかね」

「…、いくらも稼げね。あんこが陥落したから、ここもすぐやられる」

「やはりか…では、モルデへ脱出しなければ」

「城は最後まで守る。はやぐ行け」

閣僚相手には敬語を使わないノルウェーに普段は反感があったが、今は頼もしい。

「イギリスさんが来てくれるから、君も北部へ急ぎなさい」

閣僚はそう言って車に乗り込んだ。

港や市街からはひっきりなしに砲撃音が響き、人びとが逃げ惑う。

そのなかを銃声を鳴らしながらドイツ軍とノルウェー軍が戦う。

「やっぱど…アルレには戦わせたくね…」

すぐ近くに銃弾が当り、王宮の門に穴が開く。

「ノルウェーさん、もうだめです!」

「…、総員撤退!」

残る一般市民が気がかりだが、国の存続のためには首都の放棄も致し方ない。

「…必ず助けてやる」

自分に言い聞かせてから、ノルウェーは踵を返した。



翌日までにオスロは陥落したが、ノルウェーはイギリスと北部で合流し抗戦を続けることになる。




***




デンマーク、オスロの陥落を聞いたアルレシアは、初めて中立であることを後悔した。

アルレシアが連合側なら、イギリスはもっと早くデンマーク、ノルウェーへ行けたはずなのだ。

アルレシアは領海内の他国軍の航行を許可しているが、補給は行わない。

そのため、イギリスはアルレシアを迂回して自国の要塞を経由しなければならないのだ。

いくらイギリスによる中立侵犯が原因とは言え、この侵略行為を行ったドイツに対して正当性を見付けることはできなかった。

ノルウェー南部が制圧された今、アルレシア一国ではドイツの封鎖は不可能だ。


「浮かない顔だね」

王宮の廊下の窓から街並みを見下ろしてそう考えていると、背後から声をかけられた。

「…陛下、」

そこにいたのはアルレシア国王その人だ。

隣には首相もいる。

「北欧侵攻のことかい?」

ずばりと言い当てた国王に、アルレシアは苦笑する。

「はい…そんなに分かりやすいですかね」

「あからさまに沈んでいたからね」

「陛下は遠くから君が落ち込んでいることを見抜いていたよ」

首相もおかしそうに言ってから、顔を僅かに引き締める。

「正直、我が国が最初から連合側についていたら、今頃占領されていただろう」

「…わかっています。分かっては、いるんですが…」

「しょうがないさ。彼らは長い付き合いなんだろう?」

国王も頷く。

「そうだ。長い間一人だった君を、昔から支えてくらた国たちなんだから」

「…はい。イギリスもフランスもあいつらも、中世からの付き合いです」

アルレシアは窓から首都の街を見渡す。

「あの城壁の東門、あそこで出会いました」

中世からの街並みの向こうに見える城壁、そこの門でデンマークとノルウェーに出会った。

「これも歴史、なんだろうなあ…」

国王はそう呟いて、首にかけるペンダントを見る。

王家の印であり、戴冠とととに身につけるものだ。

「デンマークたちが来たとき、国王は祈祷に勤しまれていましたよ。ペンダントをつけて」

「う…やはり本当なんだねその話」

気まずそうな国王に少し笑い、アルレシアは頭を下げる。

「ありがとうございました」

慰めてもらって、と心の中で続ける。

「なんのことかな。まあいい、私は公務に戻るよ」

国王はおおらかに笑いながら廊下を歩いていく。

首相も穏やかな笑みを浮かべながら後に続いた。



上司たちに慰めてもらうなんてまだまだだな、と思いながら、アルレシアは気分を切り替えるように伸びをする。

そして、少しでもこの戦争が早く終わるように、様々な外交ルートを模索すべく歩き出した。


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