Contemporary II: the sin
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5月、ドイツは本格的にフランスへ侵攻するため、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクへの侵攻を行うことにした。
フランスへの侵入のため、オランダ南部からベルギーへ入りフランス北部に進軍する、それは第一次世界大戦でも行われたことだった。
だが今回は、オランダ全土の制圧が目標だった。
イギリスがオランダの空港からドイツへ爆撃することを恐れたのだ。
そのため、ドイツはオランダ全土占領を目指して計画を練った。
一方のオランダも、脆弱な軍の補強やベルギー、フランスとの共同防衛を行おうとしたが、どれも上手くいかず、最悪な状態での開戦となってしまった。
10日朝より始まったオランダ戦の中、アムステルダムではオランダがため息をついて装備を見ていた。
ハーグで空輸された歩兵を蹴散らしてから戻ってきたオランダだったが、圧倒的な戦力不足は不安材料でしかない。
「フランスめ…」
明確に味方であることを表明しなければ支援しないというフランスにより、武器の調達が間に合わなかったのだ。
「オランダさんどうしたんです?」
部下が首を傾げたため、オランダは武器不足を説明してやる。
「えっ、そんな不足してるんですか…でも、イギリスさんたちが助けに来てくれますよ。ここが占領されたらイギリスさんもまずいですもん」
「まあ…そうなんやけどな…」
そう簡単に済む話ではないであろうことは、容易に想像できた。
「アルレに輸入してもらえば…」
永世中立の隣国を思い浮かべたが、軍事力は似たり寄ったりだ。
いや、あちらはよく訓練されているが、こちらは未熟な兵士ばかり。
これは大きな差だ。
またため息をつきたいのを我慢して、オランダは点検を始めた。
一日で占領を目指していたドイツだったが、思いの外時間がかかり、14日になっていた。
4日間のロスはドイツの上司を怒らせ、とうとう爆撃による威嚇を指示。
その日のうちに最後通牒が出された。
都市が降伏しなければ各都市を爆撃するという内容に、ロッテルダムの指揮官は調印を行った。
しかし、ロッテルダムはなぜか空爆を受け壊滅、これ以上の流血を避けるべくオランダは全面降伏を受け入れた。
政府はイギリスへ亡命したが、オランダは現地に残る。
そして、最後とばかりに電話を入れた。
たった4日間でボロボロになった体にむち打ち、ドイツが来る前に受話器をとる。
「…、アルレか、」
『どうした?』
「…俺はもうだめや。悪い、お前に不利になる」
『…降伏したのか。怪我は?大丈夫か?』
「大丈夫やざ。ええか、イギリスたちは当てにならん。助けになんか来ないで」
『えっ…』
「戦ったらあかん…」
「なにをしている」
「ちっ…」
『あっ、ちょ、』
オランダはすぐ電話を切った。
瞬間、電話機が銃弾により弾ける。
破片が頬を切り、血が伝った。
ドイツが放った銃弾であるのは確かだった。
「オランダ、さん…」
開戦時に話した部下が血を流して倒れている。
それでもオランダを心配するあたり、いいやつだ。
まだ、今なら助かる。
「あいつを、医務室に運ばせろ」
「…勝手にしろ」
ドイツは抑揚のない声で応え、もう用はないとばかりに立ち去って行った。