Contemporary II: the sin
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オランダ、ノルウェー、デンマークの協力を取り付けたドイツは、いよいよアルレシア侵攻作戦を固めた。
アルレシアは、首都を中心に放射状に8本の街道がほぼ真っ直ぐ伸びている。
それぞれ島の海岸まで伸び、そこで大きな港町が形成される。
その街道のうち最も短いのが、首都から南東方向に伸びるものであり、長さは250キロ。
首都が島の中心よりやや東に位置しているためで、沿岸の港町は外港である。
外港は港町の中では最大規模で、首都から外港までの街道沿いは市街地になっている。
そのため、首都と外港は街道沿いの街によって市街地が繋がっている。
今回の作戦では、ドイツ空軍の主力が外港方面から首都へ向かい空爆、その後Uターンして外港に戻り、外港から街道沿いに再び爆撃する。
外港周辺の人々は追い立てられるように首都へ逃げるがそこは火の海。
追い討ちをかけるようにまた首都を空爆して止めをさす。
空爆後は、北東からノルウェー、東からデンマーク、南東からドイツ、南からオランダが派兵し上陸する。
一気に都市圏を制圧し、アルレシアを降伏させる。
それがこの作戦だ。
ドイツ自身、全く気が進まないが、アルレシアを制圧しなければそれこそこれまでがムダになる。
やるしか、なかった。
***
一方アルレシアは、イギリスから最新防空レーダーの輸入を拒まれ、仕方なく旧式のものを装備していた。
外港に多く配備して来襲に備え、首都郊外に軍を駐屯させる。
そして、国王一家も山奥の街へ移動することになった。
いざというときのためにだが、国王は随分と渋ったらしい。
王室の避難を終えると、王宮は閑散とする。
アルレシアはその静けさに妙な胸騒ぎを覚えながらも、振り払うように軍服に着替えた。
7月23日。
未明の暗闇の中、ドイツの北海沿岸の基地から、轟音とともに爆撃機が飛び立つ。
国王一家が首都を離れたということで、すぐに今日計画が実行されることになった。
国王を傷付けることはアルレシア占領の邪魔になるという判断だ。
爆撃機は編隊を組んで空へと飛び立っていく。
北海の向こうに浮かぶアルレシア、外港の明かりがキラキラと輝く。
アルレシアの旧式な防空レーダーでは映らない高度を飛行し、街道沿いを進む。
放射状に明かりが広がる巨大な都市が闇に浮かび、兵士たちはハンドルを握りしめた。
その頃アルレシアは、慌てたような部下に呼ばれ、王宮を走っていた。
目的の部屋に入ると、報告通りの人物。
「陛下…なぜここに」
そこには、逃げたはずの国王がいた。
「私だけが逃げるわけにほ行くまい。私は国民とひとつだ」
「しかし…」
「息子とは今生の別れを告げてきた。次の国王は安泰だ」
「陛下…」
王子は疎開先に残り、もしもの際には後を継ぐのだ。
最近、ドイツとの交渉が決裂し不穏な空気が漂っていた。
ドイツへの警戒が高まり、疎開なども行われたというのに。
あまりにも国王らしい行動に、アルレシアも言葉が出ない。
そんなところへ、それはやって来た。
突然、バルコニーから見える街並みに火柱が上がった。
直後、地面が揺れ爆音が響く。
「なっ!?」
アルレシアは驚いて窓に駆け寄る。
遅れて警報が鳴り始め、人々が家から飛び出す。
午前1時を過ぎたばかりの時間、不意討ちにもほどがある。
「なんで今なんだ…!」
アルレシアは国王を振り返る。
「陛下、お戻りになられて早々緊急事態です。すぐ避難を、」
「…いや、私は逃げないよ、まだ。最後の仕事がある」
「なにを、」
アルレシアは急激に焦っていた。
まさか、国王が戻ってきた直後にドイツが侵攻してこようとは。