Middle Age II: a part of the world
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イギリスはバラ戦争のあと、ランカスター派が勝利してテューダー朝が始まった。この王朝はイギリスをイギリス国教会の国にし、絶対王政を確立させ、海上覇権を握る布石を打つという重要な役割を負うことになる。


「アルレシア、予定あんのか?」

「あぁ。悪いな、来てもらったのに」

「いや、こっちこそ突然来たからな」


イギリスは冷静なときは物分かりもよく話してて楽だ。あくの強い兄たちに揉まれて来たからだろうか、常識人というか、苦労人気質なところがある。

フランスは今だぶつくさ言っており、スペインに「ふそそそ」という呪詛のようなものまでかけられていた。



カオスになりつつある。

そして、こういうのはどんどん悪化するものだ。




「おいアルレシア!俺様が来てやったぜ!感謝のあまり改宗しやがれ!」


庭の茂みという場所から、プロイセンが飛び出て来た。頭に乗せた葉っぱが最高にダサい。


「うわ…」


アルレシアは小声で漏らした。

プロイセンはすでにアルレシアを遥かに越す身長と体躯で、騎士団の甲冑が様になっている。
しかし、つい最近ポーランドとリトアニアにタンネンベルクでぼろ負けして領土をほとんど喪失している。
その際、プロイセン公国としてポーランドの臣下の礼を拝することになった。

このあとすぐ、プロイセンはブランデンブルク選帝侯と婚姻によって合同し、ブランデンブルク=プロイセンとなる。ホーエンツォレルン的な何かでプロイセンは中興し、ブランデンブルクとしては神聖ローマ帝国に拝する二重統治下に入るが、近代の欧州史におけるキーマンとなる。


「出た、東方の問題児」


復活したフランスがプロイセンを見遣る。キリスト教国からもこの言われようである。


「荒廃したお前らの代わりに俺ん家の穀物輸出してやってんだ、日々俺様に感謝しろよ」

「キャラ濃いねんな、どいつもこいつも」

「スペインに言われたくねぇだろ」

「えー、そうかぁー?」

「さっきの呪詛だろ?初めて聞いたやつだったが」

「元気の出るおまじないや!」


アルレシアは玄関の大きな時計装置を見た。来客の時間が迫っている。
今だカオス空間は広がったままだ。


(最悪だ、ここにあいつらが来たら…誰も収拾できない…)


しかし来る予定のものをどうにもできない。
結局、予定されていた者たちが現れた。


「アルレシア!久しぶりだなー!」


相変わらず騒がしい北方の訛り。


「なんだ、色々集まってんじゃねえの」


カオス空間に飛び込んで来たのは、デンマークと、


「あんこが一番うるせ」

「…んだ。騒がし」

「あれ、すごいたくさん人がいますね…」


ノルウェー、スウェーデン、フィンランドだった。
ノルマン人の移動のあと、北欧の王国は互いに王家が結婚しあって非常に混みいった家系図を築き上げていた。
デンマークは一時北ドイツのホルシュタインやメクレンブルクなどの領邦を占領し、エストニアを支配した。しかし、すぐに北ドイツ諸侯とハンザ同盟の連合軍にぼこされ、スウェーデンに圧力をかけられた。
スウェーデンはフィンランドを併合し、その後ドイツ騎士団からエストニアの領有権を譲り受け、さらに南下してクールラント(ラトビア)の北半分を支配するに至った。
ちなみに、クールラント南部からウクライナまでの広大の東欧地域はすべてポーランド=リトアニア王国の領土となっている。

その後もメクレンブルクやポンメルンとの複雑な婚姻関係と小競り合いを繰り返すうちに、北欧はだんだんとひとつになっていった。


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