Early Modern III: bill rather than kill
−朕は国家なり



アルレシアがイギリスの家で暮らし始めた頃より親政を開始した、フランス王ルイ14世は、重商主義、中央集権、そして対外戦争に乗り出した。

ロンドン大火の翌年、ルイ14世はスペイン領ネーデルラントの継承を主張。スペインが取り合わず、フランスはとうとうベルギーへ侵攻した。



***



「なんで俺の家なんだ」


そうして、なぜか関係国がアルレシアの家に大集合した。イギリスの家(屋敷)が大火で焼けたことも理由の一つだろうか。


「フランスのやつ強引過ぎるやろ!」

「なんでウチなん!?」


憤るスペインとベルギー。


「まったく、あんなお馬鹿な理由で攻め込むなど…」


こちらもポコポコしいオーストリア。


「あいつ、ベルギーだけで終わらせる気あらへんやろ」


オランダは不機嫌そうだ。
現在、第二次英蘭戦争はオランダに優位だ。


「俺はどうでもいいけどな」

「…んだ、」


イギリス、スウェーデンは直接関係ないものの、ここに呼ばれている。


ここにいるメンバーの中で、ほぼ制圧されつつあるベルギー、力のないスペイン、オーストリアはあまり有効な手立てはない。

財政難ながら軍は強いイギリス、国力のあるオランダ、スウェーデンが今のところフランスに対応できる。


「いいじゃん、さっさとオランダとイギリスは戦争終わらせれば」


アルレシアは雑に言う。
イギリスは終戦に乗り気だが、オランダは優位な今やめるのは本当は嫌だろう。

だがフランスは強く、イギリスとの戦いに固執していては、陸で繋がるオランダには危険だ。


「…アルレ返せや」

「それはさすがに無理だな」

「ちっ」


オランダもこの形での和約では、アルレシアを返還させるには及ばないことを分かっているようだ。


「スウェーデンも手伝ってやってくれよ」


アルレシアがスウェーデンに頼むと、こくりと頷く。



そして1667年、第二次英蘭戦争は終結。
1668年頭に英蘭典三国同盟が結ばれた。

この包囲の前にフランスは撤退せざるを得なくなり、ネーデルラント継承戦争はフランスの若干の領土獲得で終わった。


***


1668年にイギリス、フランス、オランダは和約を結んだため、アルレシアはフランスへ商談に行けるようになった。

本当は金の匂いがぷんぷんしたためもっと早く行きたかったのだが、ベルギーに侵攻するかどうか分からなかったため控えていたのだ。
ベルギーに侵攻すればフランスが実質負けることは分かっており、こちらが赤字になりかねなかったからである。

そうして今、アルレシアはフランスを訪れているわけだが。



「もうほんとオランダむかつくー!」


ずっとこの調子なのだ。

邪魔をした形になるオランダに対し、並々ならぬ苛立ちを抱えていた。まさか自分がそれに加担したとは言えず、「そうだなー」と平坦に返す。


「でもお兄さん、もういい子見繕ったんだよね」

「…、参考までに聞くけど、何のためにだ?」

「もちろん、イギリスの上司をたらしこむためさ!」

「そんなん上手くいくわけねーだろ」









1670年、たらし込まれたイギリスの上司はフランスとドーヴァーの密約を結んだ。

それが発覚すると三国同盟は破綻し、1672年にはフランスとスウェーデンも同盟した。
その年、フランスはオランダに侵攻。

オランダ侵略戦争が始まり、イギリスは密約に従い第三次英蘭戦争を開始した。






「おいイギリス、お前それでいいのか」

「…俺は、まあ言うこと聞くだけだしな」


上司のおかげで渋々オランダと開戦したイギリスは、複雑そうな顔だ。国民は開戦に否定的なのもあって、やる気はなさそうに見える。
イギリスの上司は共和政の間にフランスの世話になったため頭が上がらないのだ。


「まぁ、ほどほどにな。てことで俺はオランダのとこ商談に行くから」

「お前はほんとに…」


呆れたようなイギリスの声を聞き流しつつ、アルレシアは物資を売りにオランダへ渡った。


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