Modern: Revolution for Revolution
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1690年にスペインなどが参戦し、戦場はライン川流域からイタリア、イギリス海峡、アイルランドなどに拡大。
さらにイギリスとフランスは、大陸での戦いの合間にアメリカでも争いをしていた。
1689年よりウィリアム王戦争として始まったこの戦いより、第二次英仏百年戦争と呼ばれる植民地戦争が幕を開けるのだ。
イギリスやオランダはすでに財政が危うく、スペインやオーストリアも力が弱い。
イタリアはすでにヘタレを発動し和平を考え始め、ベルギーやドイツ諸邦は次々とフランスに制圧されていった。
だがフランスも飢饉により経済は危機に陥り、イタリアとの和平をきっかけに戦いは急速に収まっていった。
こうしてレイスウェイク条約で戦争は終結し、フランスは事実上敗北した。
しかしすでにフランスは、断絶が間近なスペインに目を向け、様々な裏工作を開始。
17世紀最後の大戦争は、18世紀最初の大戦争の引き金となるのである。
***
「はぁ!?」
前回同様、リビングでイギリスは秘書に報告を受け叫んだ。
「今度は何だって?」
アルレシアは薄々感づきながらも聞いた。
「スペイン王位をフランスの上司が継承したって…」
「やっぱりな…」
「あーくそ、次から次へと」
やつれたようなイギリスは思い切りソファーの背もたれにのけ反った。
1700年2月、北欧では北方戦争が始まり、ロシア、デンマーク=ノルウェー、ザクセン=リトアニア=ポーランドがスウェーデンを寄ってたかって攻撃し始めていた。
イギリスは上司の問題で揉めている上、フランスが資金的な介入を行い、さらにスペイン領だったベルギーに兵を駐屯させるなど面倒のオンパレードだ。
「頭いてぇ…」
「落ち着けって。まずは上司のこと」
「そうだな…上司をはやく決めて、それから宣戦だ」
1701年、オーストリアやオランダとともにフランス=スペインに宣戦した。
また、プロイセンもこの戦いに参加することで王国への昇進が決まった。
アメリカでもアン女王戦争がイギリスとフランスとの間で始まり、あちらもこちらも戦争、という状態で18世紀が始まった。
1701年から始まったこのスペイン継承戦争だったが、フランスは孤立に陥り、各国も様々な思惑が渦巻き1713年にさっさと戦いは終わった。
スペインはベルギーやロマーノをオーストリアに引き渡し、フランスは政権が交代。
アメリカでも領土を失ったが、イギリスもハノーヴァー朝に代わりグレートブリテン王国となってからは歩み寄りが始まった。
1721年には北方戦争も終結し、スウェーデンは没落、ロシアがバルトの覇権を握った。
プロイセンも頭角を現し、勢力バランスが大きく変わった。
そしてそれは、イギリスの変化の始まりだった。
***
アメリカが綿花などの原料や商品作物の輸出を行っていることを知ったアルレシアは、ヨーロッパの戦いを放ってアメリカと貿易を加速させていた。
北方戦争やスペイン継承戦争でも参戦を頼まれはしたが、アルレシアは不利益の出ない範囲で戦いをしない。
「アメリカでかくなったな」
そうしてアメリカに頻繁に通うようになったのだが。
アメリカは急激にでかくなり、1730年代にはアルレシアを抜かしていた。
「アルレシアが対等に接してくれるからね」
アメリカは優しげに笑いながら綿花の花をくるくる回す。
アルレシアはアメリカを支配している国ではない。
そのため、植民地にするようなことは一切していなかった。
狭い島に昔から色んな人々が移住してきた国だ、人を平等に扱わなければ争いが生まれることを知っていた。
「悪いな、イギリスのやつ、無理なことばっかで」
イギリスがやっている貿易は、本人も乗り気ではなさそうだったが、えげつない。
奴隷や重税など、完全な支配なのだ。
「アルレシアが謝ることじゃないさ」
「まぁ、な。あ、そうだ、これ今月の」
そう言ってアルレシアは封筒に札束を入れて渡す。
輸入した分に見合う金額だ。
「ありがとう、」
アメリカは毎回これを見て、嬉しそうにする。
もちろん金そのものではない。
対等に接してもらう、つまり認めてもらっていることが嬉しいのだそうだ。
以前言っていたことを思い出していると、突然、固い声が響いた。