Modern: Revolution for Revolution
−4



「イギリス…?」

「大丈夫ですか!」

アルレシアが呟くと同時に、一人のイギリス兵が駆けて来た。

まだ若く、20代前半くらいだろう。

「どうして、」

「アルレシア様の方へフランスが向かっていること、アルレシア様が我が国に歩み寄ろうとしていることを聞いて、すぐに向かったのです。イギリスさんもすぐいらっしゃいますよ」

「そう、か…でも君はなんで俺を知ってるんだ…?それに、わざわざ一人で市街地まで」

兵士はふ、と笑う。

「命の恩人、と言いますか…あなたがいなければ、私も私の家族の命もなかったので」

その言葉に、アルレシアは眉をひそめた。

「なんかした覚えないぞ」

「私の曾祖父が、あなたに命を救われているんです。あの、ロンドン大火のときに」

そこでアルレシアは全て合点した。

イギリス領だった頃、ロンドン大火に巻き込まれ、そこで一人の少年を助けた。

結局イギリスに助けてもらいはしたのだが。

その少年の、曾孫だという。

「そうなのか!…まさか、それでこうして来てくれたのか?」

「はい。イギリス兵ではありますが、あなたのお役に立つことが家訓なんです」

「そんな大袈裟な…でも、ありがとう。助かったし、嬉しい」

笑いながら言えば、兵士は顔を赤く染めた。

「い、いえ!それより、この方をお助けするのですよね?」

いまだ瓦礫に足を挟まれている母親に、アルレシアは頷く。

「手伝ってもらえるか?」

「Yes,my pleasure(喜んで)」

兵士と二人で瓦礫を持ち上げ、母親は自力で這い出る。

「怪我はしてないか?」

「擦り傷だけです…本当にありがとうございました」

「おかあさん!」

少女を抱きしめ、母親は頭を下げる。

「いや…それより、一応早く安全な場所へ」

「はい」

二人は街から脱出すべく、なるべく早く歩き出した。

「君の名前を聞いてもいいか?」

「ハワード・グリーンフィールドです」

「ハワードか…本当に助かった」

「いえ。…海上の戦いはイギリス側で勝利したようです。イギリスさんのところへご案内しましょうか?」

「頼む」

「はい」

アルレシアはハワードの後に続いて、煙の上がる街を海へ向かった。


イギリスは海上のイギリス軍艦の一つにいた。

案内を終えハワードは去り、アルレシアはイギリスと二人きりになる。


「…久しぶり、だな」

「あぁ…」

どこか気まずいまま、二人は目線も合わない。

「ありがとう、助けてくれて」

「いや」

会話も続かない。

「…そういや、あのハワードってやつ、ロンドン大火のときの少年の曾孫なんだな」

「そうらしいな」

「……」

二人の間には、昔の気軽さがない。

ただ、距離を掴みかねる不器用な男が二人、同じ空間にいるだけだった。

「…イギリス…」

「…なんだ」

「…、」

どうする、何を言う。

頭の中が混乱する。

次第に、熱を無視して屋敷を出て来たことが今になって現れてきた。

視界がぐらつき、思考がぼやける。

「おい、アルレシア、大丈夫か、おい!」

イギリスの声をぼんやり聞きながら、アルレシアは足から力が抜けた。

倒れる、そう予想したが、イギリスがアルレシアを支えた。

イギリスの肩に頭を預ける形になる。

「すげえ熱…なんでそんな…」

「…超…景気わりぃ…」

「…俺のせいだよな」

イギリスはアルレシアを抱きしめる。

「ごめんな…」

「俺も…ごめん…仲直り、しよ?」

何とか顔を上げ、体重をイギリスに預けながらもその目線を合わせた。

「あぁ。フランスの野郎に、お前を渡したりしねえ」

「ん…良かった、イギリスと…仲直りでき、て…」

アルレシアからかけられる体重が一気に増えたかと思うと、アルレシアは気を失った。

今回の外港襲撃でさらに被害を受け、もうアルレシアは限界だった。

「おやすみ…」

イギリスはアルレシアをベッドに寝かせ、まずアルレシアを回復させるべく動き出した。


69/127
prev next
back
表紙に戻る