Contemporary I: devil’s warfare
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「まぁ…久々にこういう場所でアルレシアを見れるならお兄さんもうれしいけど…」
二人は相席するらしく、フランスがオランダの、スペインがアルレシアの隣に座った。
「ほんまなぁ…アルレがたくさんの国が集まる会議に参加するんは、70年くらい振りやろ?」
「…世界恐慌のときが、最後。そのあとは石油産出国の会議が参加する中で一番大規模だったな」
世界恐慌直後にアメリカを袋だたきにした会議?と、ドイツのWW1賠償金に関する会議を最後に、アルレシアはこのような会議には参加していない。
70年以上前になる。
「…結局、アルレシアの言う通りに、」
「言うな」
アルレシアは鋭くフランスを睨む。
「…俺たちが、そんな風に回顧しちゃいけないんだ」
「ごめん…」
場に微妙な空気が流れる。
「…おい、早く注文しねま。時間ないで」
黙っていたオランダがアルレシアに促した。
アルレシアは頷いて、エッグ・ベネディクトを頼んだ。
「まぁ参加するんやったら、せっかくやし色んな国と話したらええやん。アルレ、あんま大人数で話さんやろ?」
明るい声でスペインがアルレシアに微笑む。
昔から暗い空気を払拭してくれた。
いつもはスペインに突っ掛かるオランダも何も言わないで財布のレシートを見ている。
「この70年でたくさん国ができたからねぇ。可愛い子もイケメンもたくさんだよ。あ、お兄さんはアルレシアが一番かわいくてイケメンだと思ってるよ!」
「あーはいはい、そんで一番美しいのは自分だって話だろ?」
「ようやくアルレシアもお兄さんの魅力に気付いた?1000年以上かかるなんてお鈍さんだなぁ!」
「…別に、綺麗なやつだな、とは出会った頃から思ってた」
「……」
フランスは急に押し黙り、スペインを見た。
「…良かったやん、デレ来て」
スペインの生暖かい目に、オランダがようやく舌打ちを発した。
食事を終えると、四人は連れ立って会議場に向かった。
会議場があるのは摩天楼の一つで、エントランスは豪華な装飾で飾られている。
すでに多くの国が集まり、お互いに話したりしながら上層階にある会議場へ向かい、エレベーターや階段にいる。
その光景があまりに久しく、アルレシアは辺りをキョロキョロと見渡した。
ヨーロッパ先進国、特にEUや国連でも重鎮なフランス、オランダは国の中でも目を引くらしい。
スペインも昔からの大国で有名だ。
その三人がいれば目がそこへ向かうわけだが、そこにはレアな顔がいる。
世界会議に参加して来なかったアルレシアだ。
他の国たちもアルレシアの姿に驚いたり感嘆したりざわつく。
「やっぱり注目されてるね」
「普段見ん顔やからな」
フランスとスペインはそのざわつきに気付き、オランダは気付きはしたが気にしない。
そして当のアルレシアは気付いていなかった。
「…昔からアルレシアはこうだったね」
鈍感さではスペインとどっこいどっこいか、それか無自覚なだけか。
後者かもしれないとフランスはアルレシアを横目に見た。
(確かめればいいじゃない)
フランスはスペインにやるようにアルレシアの尻に手を伸ばした。
「…何やっとんじゃ」
それを無視するわけないのがオランダである。
フランスの腕をギリギリと音がしそうなほど強く掴む。
「いたたたたた!ギブ!ごめんって!」
フランスの声を聞いてオランダが手を放すと、アルレシアが怪訝そうに二人を見た。
「どうかした?」
「変態を懲らしめただけや」
「オランダだって対アルレシア限定で変態のくせに…」
「せやでオランダ、そこはフランスのこと言えへんやろ。親分は爽やかやさかい、安心しぃ!」
「イタリア兄弟を危ない目で見とったくせに何言うてんねや」
「お前が一番危ないと思うよ!?」
「西欧は俺以外変態ばかりなのは昔からだろ」
アルレシアの得意げな顔に一同微妙な顔をする。
「アルレシア前にしたらみんな変態になるよ…」
「あかん親分心配でムラムラしてきた」
「お前はどっか行きねま」