Contemporary I: devil’s warfare
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ドイツによるベルギー中立侵犯の一報が入り、アルレシアは急いでイギリスの元へ訪れた。
すでにイギリスはドイツに宣戦し、フランスに派兵している。
「イギリス、ベルギーがやられたって…」
「あぁ…お前はどうするんだ?」
「言った通りだ。ベルギーを攻撃したやつに宣戦する…ドイツに」
「じゃあ、味方ってことでいいか?」
イギリスの言う味方、とは協商国のことだろう。
「…今だけな」
あくまでベルギーが攻撃されたから参戦するだけで、侵略の意図はない。
イギリスもそれを汲み取り苦笑した。
「分かってる。お前がいれば、海上封鎖がやりやすい」
「海上封鎖していいんだな」
「あぁ、頼む」
「分かった。イギリス、お前の海軍に領海航行許可を出しておく」
「ありがとな」
「…でも別に、最低限しか俺は協力しないからな。俺は俺で戦う」
「分かったよ」
アルレシアはイギリスと分かれ、自分の家に帰る。
フランスとドイツの間の戦い、西部戦線に介入する気はない。
アルレシアは主に、北海でドイツの海軍と戦う。
オランダや北欧は中立だから、1対1だ。
ドイツはロシアへも侵攻し、オーストリアもロシアへ派兵している。
本土へ侵攻することも可能だが、それはまだリスクが大きい。
宣戦はしたものの、まずは様子見から入った。
11月、トルコがドイツ側に立って参戦し、東部戦線は拡大、1915年始めにはポーランド全域がドイツに占領された。
「ドイツ、ごめんね。やっぱオーストリアさんとはやれないや」
イギリスと密約を結んだイタリアは、オーストリアに宣戦し連合側に立った。
10月にはブルガリアが同盟側で参戦し、バルカン半島へ戦場が広がる。
一方アルレシア領海周辺では、イギリスとドイツの小競り合いが続いていた。
1914年8月のヘルゴラント・バイト海戦でイギリスがドイツの主力艦隊を封じ込めることに成功。
12月にはドイツがイギリスの港を攻撃し街を破壊していた。
1915年1月、ドイツは同じようにイギリスの漁船を攻撃しようと出撃したがイギリスの返り討ちに遭うドッガー・バンク海戦が起きた。
それから1年間はドイツは大人しかったが、1916年5月、バルト海を制圧したドイツ海軍の駆逐をロシアがイギリス、アルレシアに要求すると、動きが起きた。
アルレシアは応じず、イギリスの一部がそれに当たる。
だが、ドイツがデンマークとスカンディナヴィア半島との間にあるスカゲラク海峡へ向かっている、という情報がイギリスにもたらされた。
イギリスは急いで出兵し、ついでアルレシアにも連絡した。
『おいアルレシア、ドイツがスカゲラク海峡へ向かっている。多分そこで海戦になる』
「分かった、すぐ行く」
ぎりぎり領海に入るか入らないか、といった海域だ。
アルレシアもすぐに海軍を率いてそこへ向かった。
5月30日の夜、海峡の西の海域でイギリス艦隊とアルレシア艦隊は合流した。
船内の電話でアルレシアはイギリスと再び連絡を取る。
「様子はどうだ」
『俺の艦隊の一部が南々東にいる。何事もなければこちらに合流するつもりだ』
「分かった」
大量の船が海に浮かぶ。
やがて日付が変わり、31日の昼、南々東のイギリスの艦隊から交戦が始まったと連絡があった。
実は、このイギリスの艦隊の偵察とドイツ海軍の偵察が、同じ国籍不明船を発見、追跡した結果鉢合わせたために開戦した。
ちなみにこの船はデンマーク国籍だった。
連絡を受け、イギリスとアルレシアは急いで現場へ向かった。