Contemporary I: devil’s warfare
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現場ではすでに艦隊が砲撃を行っており、爆音と海面に広がる衝撃波が船の間に広がっていた。
イギリスはイギリスのやり方があるため、アルレシアはイギリスから離れてドイツ艦隊と交戦した。
アルレシア海軍はイギリスほど強くなく、国力もほぼドイツとイギリスの戦いといって良かった。
アルレシアはイギリスが攻撃する船にとどめを刺したり、イギリスを攻撃する船を狙い撃ちにするなどの行動を取った。
夕暮れの海は瞬く間に夕日でない赤色に染まり、次々に船が沈んでいった。
アルレシア側もいくつか撃沈し、かなりの被害が出ている。
「くそ、このままじゃもたない…」
今主力がやられるのは痛い。
アルレシアは揺れる船の中、本国へ連絡を取る。
「一部部隊を帰還させたい」
『却下だ。何としてもドイツを封じ込めなければならない』
通話は強制的に切られ、思わず受話器をたたき付けた。
「命を何だと思ってる…!」
アルレシアは窓から惨状を見遣る。
また一つ、砲撃が当たりアルレシアの船が爆発する。
兵士たちが飛び降りて行くが、直後、船は激しく爆発し周りが炎に包まれた。
「…っ、また、」
ズキ、と心臓が痛んだ。
兵士たちの痛みが伝わって来る。
沈む船に取り残され、海水が満ちていく絶望が心に広がる。
「イギリスは、ずっとこんなもんに耐えて来たのか、」
机に手をついて、胸を押さえた。
「アルレシアさん、」
兵士たちが心配そうに見るが、答える余裕はない。
「はっ…、砲撃を続けよう…」
アルレシアは部屋を後にした。
結局ドイツは敗走したが、アルレシアとイギリスも打撃を負った。
イギリスは戦いをあちこちで続けたが、アルレシアは戦いを続ける余裕はなかった。
植民地を持たないため、本国の力だけではどうしようもなかったのだ。
その頃、バルカン半島では変化があった。
8月にルーマニアが連合側で参戦したのだ。
セルビアを占領していたオーストリアとブルガリアは、それを見てルーマニアへの侵攻を開始した。
「お前、この前はよくもやってくれたな」
「おいらだけじゃないし」
「あんたのそういうとこ気に食わないのよ!」
「降伏するなら今のうちですよ」
「連合側に立ったんだから覚悟はあるんだな」
ブルガリア、ハンガリー、オーストリア、ドイツに囲まれ、ルーマニアは冷や汗を流す。
(やべえ、さすがにきついかなー)
「ルーマニア君!」
すると、背後からロシアが駆けて来た。
「僕が味方だよ」
「またあなたですか」
オーストリアは苛立ったように睨む。
「悪いなルーマニア、お前はバルカンで唯一のラテン人だが…仕方ない」
ドイツは手を挙げる。
「…行くぞ」
12月、ルーマニアはほぼ全土を制圧された。
***
1917年に入ると、連合側の戦況はさらに厳しくなった。
2月からドイツは無制限潜水艦作戦を開始し、Uボートにより次々と船を沈め始めた。
アメリカはこれに対しドイツとの国交断絶を発表したが、イギリスやアルレシアは大打撃を受けた。
特にアルレシアは物資船を護衛するだけの海軍力もなく、あっという間に南方の制海権を失った。
莫大な物資と船を失い、深刻な財政危機と経済不況に陥ったのだ。
戦争遂行能力にも問題が出て来るレベルである。