Contemporary I: devil’s warfare
−4



現場ではすでに艦隊が砲撃を行っており、爆音と海面に広がる衝撃波が船の間に広がっていた。


イギリスはイギリスのやり方があるため、アルレシアはイギリスから離れてドイツ艦隊と交戦した。

アルレシア海軍はイギリスほど強くなく、国力もほぼドイツとイギリスの戦いといって良かった。

アルレシアはイギリスが攻撃する船にとどめを刺したり、イギリスを攻撃する船を狙い撃ちにするなどの行動を取った。

夕暮れの海は瞬く間に夕日でない赤色に染まり、次々に船が沈んでいった。

アルレシア側もいくつか撃沈し、かなりの被害が出ている。

「くそ、このままじゃもたない…」

今主力がやられるのは痛い。

アルレシアは揺れる船の中、本国へ連絡を取る。

「一部部隊を帰還させたい」

『却下だ。何としてもドイツを封じ込めなければならない』

通話は強制的に切られ、思わず受話器をたたき付けた。

「命を何だと思ってる…!」

アルレシアは窓から惨状を見遣る。

また一つ、砲撃が当たりアルレシアの船が爆発する。

兵士たちが飛び降りて行くが、直後、船は激しく爆発し周りが炎に包まれた。

「…っ、また、」

ズキ、と心臓が痛んだ。

兵士たちの痛みが伝わって来る。

沈む船に取り残され、海水が満ちていく絶望が心に広がる。

「イギリスは、ずっとこんなもんに耐えて来たのか、」

机に手をついて、胸を押さえた。

「アルレシアさん、」

兵士たちが心配そうに見るが、答える余裕はない。

「はっ…、砲撃を続けよう…」

アルレシアは部屋を後にした。


結局ドイツは敗走したが、アルレシアとイギリスも打撃を負った。

イギリスは戦いをあちこちで続けたが、アルレシアは戦いを続ける余裕はなかった。

植民地を持たないため、本国の力だけではどうしようもなかったのだ。






その頃、バルカン半島では変化があった。

8月にルーマニアが連合側で参戦したのだ。

セルビアを占領していたオーストリアとブルガリアは、それを見てルーマニアへの侵攻を開始した。



「お前、この前はよくもやってくれたな」

「おいらだけじゃないし」

「あんたのそういうとこ気に食わないのよ!」

「降伏するなら今のうちですよ」

「連合側に立ったんだから覚悟はあるんだな」

ブルガリア、ハンガリー、オーストリア、ドイツに囲まれ、ルーマニアは冷や汗を流す。

(やべえ、さすがにきついかなー)

「ルーマニア君!」

すると、背後からロシアが駆けて来た。

「僕が味方だよ」

「またあなたですか」

オーストリアは苛立ったように睨む。

「悪いなルーマニア、お前はバルカンで唯一のラテン人だが…仕方ない」

ドイツは手を挙げる。


「…行くぞ」




12月、ルーマニアはほぼ全土を制圧された。


***


1917年に入ると、連合側の戦況はさらに厳しくなった。

2月からドイツは無制限潜水艦作戦を開始し、Uボートにより次々と船を沈め始めた。

アメリカはこれに対しドイツとの国交断絶を発表したが、イギリスやアルレシアは大打撃を受けた。

特にアルレシアは物資船を護衛するだけの海軍力もなく、あっという間に南方の制海権を失った。

莫大な物資と船を失い、深刻な財政危機と経済不況に陥ったのだ。

戦争遂行能力にも問題が出て来るレベルである。


95/127
prev next
back
表紙に戻る