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紀元前4世紀。

ヨーロッパでは共和政ローマとアンティゴノス朝マケドニア王国、西アジアではアケメネス朝ペルシア帝国が隆盛していた時代。

この頃、現在のアルレシア王国の直接の紀元であるアルレシア文明が生まれた。
ケルト系、ゲルマン系、ラテン系の各部族が部族ごとに都市を築き、それぞれネットワークを繋いでひとつの文化圏と言語を構成していた。

アルレシアはこの時に生まれた、気がしていた。
記憶と文献が一致するからだが、なかなか曖昧だ。




やがて、 ローマは共和政から 帝政へと変わり、その栄華を極めていった。
マケドニアは衰退し、ギリシアはローマへと下る。
ペルシアも王朝が変わり、ローマとぶつかり合うようになる。

そしてローマはガリア戦争でフランスやベルギー、オランダ南部まであたる地域を獲得した。

対岸のそのような時勢を見たアルレシアは、自分でローマに倣った戦力を築き、人々も都市を要塞化していった。

やがて紀元前100年頃、ローマ帝国はアルレシアへ侵攻。
しかし準備がされた島国への侵攻は難しく、あっけなくローマを追い払ってしまった。
まあ、2度目は防げなかっただろうが。
その時に出会ったローマが、アルレシアにとって初めて出会った国であった。

「また会おう」、そう言ったローマだったが、395年、ローマ帝国は東西に分裂しそれは叶わなかった。
時を同じくして始まったゲルマン移動により西欧は混乱し、アルレシアは孤独の300年を過ごすこととなる。

西暦400年頃になるとアルレシアは王政となり、慌ただしい日々を過ごすと共に成長期を迎える。

7世紀には対岸のフランク王国にてカロリング家が隆盛し、フランスが生まれた。
718年にイベリア半島北部でも初のイベリアキリスト国家、アストゥリアス王国成立とともにスペインが生まれた。
イギリスは825年のヘプターキー統一で生まれた。

やがて870年にはフランク王国は完全に分裂し、890年、アルレシアはとうとうローマ以来初めてとなる他の国との邂逅をフランスと成し遂げた。
ついでイギリスと会い、900年代初頭には侵攻してきたデンマーク、ノルウェーを返り討ちにした。

一方その頃、ネーデルラントではオランダが生まれようとしていた。
もとは中部フランクの半独立国家、ロタリンギアの一部で、870年のメルセン条約にてロタリンギアはオランダとベルギー・ルクセンブルクに分かれ、ベルギー側をロタリンギアと呼ぶようになった。
このときのオランダはフリースラントと呼ばれていた。
918年、現在のアムステルダム付近でホラント伯領が成立し、開墾が進むと、オランダが生まれた。
ベルギー周辺ではブラバント伯領が成立し、ベルギーが生まれる。

959年にロタリンギアは上ロタリンギアと下ロタリンギアに分かれ、上ロタリンギアは現在のロレーヌ地方となる。
下ロタリンギアはブラバント伯領の他、963年にルクセンブルク伯領とともにルクセンブルクが生まれた。

ここに、ベネルクス兄弟が揃ったことになる。

下ロタリンギアは数々の領に分かれるが、一応下ロタリンギア王位は名目的にブラバント伯が継いでいた。

ベルギーはブラバント伯の活躍により、イギリスからの羊毛から毛織物を生産するようになり、だんだん経済力を高めていった。


そして980年代初頭。

木の扉を、アルレシアは緊張した面持ちでノックした。
今日は、新興国であるブラバント伯領のベルギーに会いに来た。

兄貴であるオランダに先に会わないのもどうかと思うが、とりあえず目先の利益だ。

しかし、アルレシアにとって女性の国に会うのは初めてのことだった。
まだベルギーは女性というより幼女だが、なおさら扱いが分からない。


「はーい、どなたですかー」


中から出てきたのは、高そうな服を纏った可愛らしい少女。


「はじめまして、ロタリンギアの可愛らしい主殿。俺はアルレシア王国といいます」


フランスから「女の子はいつでも貴婦人だよ!」と教わっていたため、きちんと挨拶をする。


「あ…え…っ、」


が、ベルギーは顔を赤くして俯いてしまった。

あ、まずい、とアルレシアは焦る。
そりゃそうだ、いきなり現れてこれは危ないやつにしか見えない。

どうしよう、と考えあぐねれば、ベルギーは笑みを無理矢理作りながら顔を上げた。


「は、はじめまして…、北海の美しい覇者様…」


いじらしく言い切ったベルギーに、どこか心の奥がくすぐられたアルレシアだった。







「あっはっは!そんなことあったね!」


大笑いするフランスに、アルレシアは精一杯睨み付けた。
ベルギーもくすくすと笑っている。

ヨーロッパ会議の会場全体が軽い笑いに満ちていた。
どうやら余裕のないアルレシアの話が新鮮で面白いらしい。


「うるせえな、俺も若いときがあったんだよ」

「何百年前だろうな?」


揶揄するイギリスに、「そんな変わんねえだろ」と言うと、イギリスはさらににやっとした。


「俺とお前、1000歳差」

「うっ…」


一番歳が近いフランスですら800歳差はある。


「じゃあドイツとは2000歳差だねー」


そんなことを言い出すイタリアは悪気はないんだろう。
だがアルレシアを抉るには十分だった。


「20世紀分…離れてんのか…」


がっくりとアルレシアが項垂れるのを見て、ドイツがイタリアを叱りつけるがそれも傷口に塩だ。


「アルレ…ほの、気にすることやない」


オランダのフォローは嬉しいが、こいつとは1100歳差。
つらすぎる。


「中国とは2000歳差だし…」


そう言って自分を言い聞かせたところで、「続きはよ」との声。


「え?あー…続きな…10、11世紀は特に何もないから、12世紀からでいいな」


12世紀といえば、あいつとの出会いくらいだろうか。
一口水を飲んでから、アルレシアは話を再開した。


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