三十年戦争: 腹黒たちのハーグ同盟


ブレダの戦いにて想いが通じあったオランダとアルレシアだったが、その戦い自体には負けてしまった。
包囲戦なら仕方ない、と2人は割り切り、損した分はポルトガル植民地から巻き上げた。ポルトガルはキレた。

そして1624年、オランダのハーグにて、イギリス、フランス、オランダ、デンマーク、スウェーデンが集まった。
ハプスブルク台頭に警戒するフランスが集めたプロテスタント国家たちだ。オランダ領であるアルレシアや、デンマーク領のノルウェー、スウェーデン領のフィンランドもいる。

会議室はどこか殺伐とした空気である。当然だ、プロテスタントという共通項があるとはいえ、お互いにヨーロッパでの覇権を狙うライバル。腹に真っ黒な物を据えていた。それにおどおどとするのはフィンランドくらい。
ノルウェーは無関心、アルレシアは金の匂いを纏わせていた。


「と、いうことで。みんな集まってくれてありがとねー?今日は、みんなでハプスブルク絶対ぶっ潰すマン同盟を組みたいと思って集まってもらったんだけど…どう?」


集めたフランスがまず切り出す。いまだ揺るがないスペイン、ボヘミアを平定したオーストリアと、ハプスブルクの伸長に焦りを感じている。


「俺は大賛成だっぺぇ!オーストリアのやつ、ブレーメンとフェールデンの司教領寄越してくんねぇの!こりゃ攻めこむしかねぇべ!?」

「俺は手ぇ貸さねえど」


ドイツ北西部、オランダとデンマークの間に位置するニーダーザクセンにあるブレーメン司教領とフェールデン司教領を求めるデンマークの要求は、すげなくオーストリアに却下されたばかりだ。デンマークはそのエリアを獲得し、神聖ローマ帝国内に領有するポンメルン公国とメクレンブルク大公国とともに北ドイツでの影響力を高めようとしていた。


「俺も異論はね。けんど、ポーランドのごどで手ぇいっぺぇだ」

「お、お金は出しますよ!」

ポーランドと別枠で争うスウェーデンは、まだ直接オーストリアと交戦する余裕はない。資金提供だけに留めるつもりだった。…今はまだ。


「金は出す。武器も安く売ったるさけ、行きねま」

「なんたってデンマークは友達だからな、俺らも味方する」


オランダ、アルレシアも同様に資金提供や武器の融通を申し出た。2人の頭には、軍需という金の泉しかない。ちなみに貸与する資金はポルトガル植民地から徴収する。ポルトガルはキレた。
アルレシアの絶妙なフォローもまた、デンマークを簡単にやる気にさせた。


「オランダがそうすんなら、グリニッジ条約に則って俺も金出す」


どちらかといえばスペインを潰したいイギリスは、オランダに合わせる名目で金を出す形を選んだ。


「みんなありがと!!あっ、ヴェネチアーノもスペインがオーストリアのところに地中海から行けないようにしてくれるって。お金出せばなんでもやってくれるよね」

「フランスはどうすんねや」

「俺はスイスとラインラント諸侯に頼んで、スペイン回廊を封鎖するよ!お金も出すし!」


ロマーノからスイス北部を経てベルギーに通じるスペイン領の一群をスペイン回廊と呼ぶ。帝国に物資を供給し、オランダと戦うための資源だ。そこを、中立であるスイスなどを巻き込んで断絶させるのだ。


「北海は俺に任せろ、スペインやポルトガルの船という船を拿捕して物資を奪っ……海上閉鎖してやるよ」

「アルレ、取り繕っても無駄やざ」

「それもそうだな。北海のカトリック船は全部俺が略奪してやるよ!」


にこやかに笑って言ったアルレシア。イギリスは「なんつーゲス顔…」と引いたが、オランダやデンマーク、ノルウェーは恍惚とする。北海組のその様に、イギリスはむしろ自分が間違っているのかと不安になった。


「よし、じゃあ俺たちハーグ同盟ってことで!デンマーク、任せたよ!」

「おう!」


こうして、三十年戦争の第2ステージが幕を開けた。


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