三十年戦争: カオスの中で荒稼ぎ
1635年2月、皇帝側の勢力を見て、フランスはいよいよ本腰を入れざるを得なくなった。
残るぶっ潰し隊はフランスの他にスウェーデンとオランダのみ。フランスは2月にオランダと、4月にスウェーデンと同盟を結び直し、軍事介入を決定した。第4ステージである。
1636年、フランスはアルザスを経てバイエルンに侵攻した。スウェーデンはザクセンを裏切った仕返しとばかりに袋叩きにしてみせた。
1637年には、オランダとアルレシアもスペインに占領されていた因縁の地ブレダを奪還し、スペインとベルギー、ルクセンブルクをボコボコにした。2人揃ってベルギーとルクセンブルクには手加減してデコピンで済ませてやったが、スペインはフルボッコである。
1639年までにフランスはスペイン回廊の完全な遮断に成功し、いよいよスペイン本国への攪乱を図る。
スペイン艦隊はオランダによって77隻中70隻もの戦艦を沈められ、疲弊していた。フランスとの戦端を開いていることを理由にカタルーニャ地方に駐屯していたスペイン軍は、十分な支援が政府から受けられずカタルーニャで略奪を行い、それに耐えきれなくなった人々が1640年に収穫人戦争を開始した。
「な、なんやて、カタルーニャが…」
「フランスがカタルーニャ共和国独立を支持しとります!」
屋敷でその一報を聞いたスペインは、鎮圧のために自軍では足りないことをすぐに察した。そこで、兼ねてから統一政策を強めていたポルトガルに頼ることにした。
「ポルトガル、ちょっと軍借りるで」
「はぁ?お前ん家の反乱になんで俺の軍出さなあかんねん」
「だって俺ら1つの国やん」
独立性が失われ、そのわりに負け続ける本国スペイン。オランダにもポルトガルはボコされ、いよいよ愛想を尽かせていた。
「…もう、ええわ。ちょうど断絶したアヴィス家の分家のブラガンサ家も見つかったことやし。俺、抜けるわ」
「へ…いや、ポルトガルまで何言うとん…」
「俺は独立する。王政復古や」
同年、フランスの助けを得てポルトガルも独立戦争を開始。スペインは国内の混乱によって三十年戦争から主力を遠ざけることとなった。
こうして、40年代に入ってからはフランス対スペインの戦争(ユグノー戦争からのフランス・スペイン戦争の延長戦でもある)がカタルーニャ、ロクロワなどで続き、フランスが支援するポルトガル対スペインの戦争も始まった。
スウェーデン対オーストリア、バイエルン対フランスも発生しており、オランダとアルレシアはほぼ戦いを終えていた。
「フランスのやつ、ちょっと調子乗ってんな…信用できねえ」
「ほやの…」
オランダとアルレシアはフランスの伸長に警戒し、スペインとの単独講話を開始する。
「スウェーデンのやつ、強くなりすぎだっぺぇ…」
「せやったらやっちゃえばええやん!」
「っ!その手があったっぺ!!」
「やめどげこの」
同じくスウェーデンに警戒したデンマークは、スペイン側に唆されて背後から奇襲をかけようとしたが、スウェーデンは気配で察し、1643年、デンマークを破りユトランド半島から物資の調達を行うようになった。スウェーデン王女が天使だったこともあり、2年後、スウェーデンとデンマークは平和的に単独講話を完了する。
スペインとの講話を急ぐ傍ら、オランダとアルレシアはフランスやスウェーデンだけでなく、ずっと争ってきたポルトガルにも武器を売り付けた。
ポルトガル植民地への攻撃は続けるが、本国の独立は承認し、スペイン叩きのための物資を輸出する。ポルトガルはついにキレるのを諦めた。
2人はさらに荒稼ぎをするため、皇帝を見限って中立を宣言したプロイセンを経由してチェコに赴き、劣勢のオーストリアたちに武器を売ることにした。見かけはプロイセンによる貿易である。
スウェーデンの激しい攻撃で荒廃したプラハにて、街を囲むスウェーデン軍・トランシルバニア軍とオーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリーが戦う。
「オーストリアさん、私の一部を割譲していいですから、トランシルバニアを下がらせましょう!」
「しかしハンガリー…!」
「いいんです!私のことは気にしないでください!」
「献身的なのはいいですが、戦う手を止めないでくださる!?」
いつものように、オーストリア、ハンガリー、チェコが言い争い、スロバキアが途方に暮れている。
そこに、アルレシアとオランダ、プロイセンが近付く。
「よっ、スロバキア」
「へ…うわぁ!?アルレシアさん!?」
スロバキアはアホ毛を思いきり揺らして驚く。無理もない、アルレシアはフランス側だ。
「プロイセン経由で武器売りに来たんだ」
「俺たち敵ですよ…?」
「商人の敵は商人に害成す者だけだ」
「あー…」
察したらしいスロバキアは、どっと疲れたように脱力した。
オランダはオーストリアの方へ行き、プロイセンは後ろからこちらを見ているだけだ。
「でも俺たち金ないですよ?」
「金目のものでいいよ。査定は甘くしてやる」
「…毟り取る気だ…」
「失敬な」
アルレシアは軽くスロバキアの肩を押し、壁に押し付ける。アルレシアより少しだけ低い身長は、腕の中に収まる。
「なっ、なにを、」
「持ってんだろ…?宝飾品でも金塊でもよ…」
「やめっ、」
「アルレシア、」
顔を真っ赤に染めたスロバキアからアルレシアを引き離したのは、見ていたプロイセンだ。むすっとした様子に疑問を抱いたが、スロバキアにはやりすぎてしまったのは否めないので、肩を竦めて離れた。
どちらにせよ、スロバキアは金がないので、オランダが交渉するオーストリアとハンガリーしだいだ。
チェコは話す気がないらしく、相変わらず銃を撃ち続けていた。
「勝手にやってなさいタコ!!」
怒るなって、と言おうとしたが、さすがに撃ち抜かれそうだったためやめておく。ボヘミアは血気盛んで困る。