6


このドグラント海戦で勝利を収めた北海同盟は、3月2日、イギリスとハノーファーを加えた。翌日にはイギリス駐留の拠点となるエッジポートを奪回し、本格的に戦争が始まる。
3月20日にはスペインに本土へ侵攻され戦争中のポルトガルも同盟に加わり、21日にスコティエを包囲して解放した。
大陸部での勝利を確信したプロイセンは4月にアルレシアへの応援を決め、ロシアもこれに賛同。こうしてアルレシアを解放するための国を、やはりオランダがハーグに集めた。


「絶対にアルレを解放したる…ええな、できんかったら俺がお前らをかやしたる…!!」


恐ろしい形相のオランダに、国力とは関係ないところで各国はすくみ上った。
そうして4月19日、ハーグ同盟という形で組織しなおされると、メンバーはアルレシア、オランダ、イギリス、ハノーファー、デンマーク=ノルウェー、ポルトガル、プロイセン、ロシアとなった。七年戦争期間の中で最多の国が交戦することになり、ポルタスヴィアからレガリスタードの間のリートラント平野の戦いでフランス陸軍の殲滅を開始した。


***


度重なる砲撃によって多くの建物が崩壊した町から、少し離れた畑地帯に陣取るフランス・スペインと対峙する。
砲弾を見つけやすい広い通りにて、ぐちゃぐちゃになった石畳の上をアルレシアは歩く。銃弾を補填し、いつ突っ込もうか、と考えていると、後ろから石を踏む足音がした。


「よぉ、アルレシア」

「…プロイセン、」


あちこちボロボロになりながらも、プロイセンはふてぶてしくニヤリとする。


「まだ生きてたんだな」

「んだとこら!ぎりぎり大丈夫だったっつーの!」

「へぇ、ぎりぎりねぇ」

「あっ…いや、違くてだな、」


慌てるプロイセンにくすくすと笑うと、けらけらと笑うもうひとつの声がした。2人してそちらを見れば、ポルトガルが銃を肩にかけてこちらに歩いてきていた。


「あんさんたちおもろい会話するなぁ」

「あー…まぁ、こいつとは付き合い長いからね」

「へっ、俺のがアルレシアと深い仲なんだぜ!うらやましいだろー!!」

「羨ましいわぁ、まぁオランダ以外、俺らみんな同じレベルやけどな」

「うっ…いうなよ…」


それにしても、ポルトガルとプロイセンと3人とは、なかなかない組み合わせだ。それだけ交戦国が多いことを実感する。


「なんか…ありがとな、お前ら。来てくれて。嬉しかった」

「あ〜かぁええなぁ〜」

「…おう」


思ったままに口にすれば、ポルトガルはニコニコとし、プロイセンは顔を赤らめた。




その後、アルレシア陸軍も奮戦したが、プロイセン軍の強さはやはり目を見張るものがあったし、何よりオランダの本気の強さをまざまざと見せつけられた。悲鳴をあげるフランスをぼこぼこにしていた。

5月5日からはポルタスヴィア包囲が始まり、海と陸で激戦が繰り広げられた。新市街は壊滅し、フランスが籠城する旧市街も荒廃している。
やがて6月にはロシアでエカチェリーナ2世が即位しすべての戦争から離脱、11月にはイベリアで交戦していたスペインとポルトガルが和平してこちらも戦争を離脱した。

12月3日には5年間にわたって占領され続けたサンミネラシアを解放し、残るノヴァ=ノルマンディアとポルタスヴィアへの包囲戦が始まった。


「もうクリスマスだ、帰っちゃえば?」

「確かに〜…」


包囲したポルタスヴィアに向かってアルレシアが呼びかければ、フランスは情けない声で同意した。もうこの戦争におけるフランスの敗北は決定的で、勝てる見込みなどなかった。
そして12月24日、ノヴァ=ノルマンディアとポルタスヴィアの同時解放に成功し、ついにフランスはアルレシア全土から撤退した。
新国王のもと、国家の完全な独立を達成した国民は喜びに沸き、祈念すべき日となった。

翌25日、フランスとアルレシアの間で終戦のための条約が締結され、フランスはアルレシアへの賠償金の支払いとアルレシア王位のカール2世への正統性を認めた。これをクリスマス条約という。


67/94
prev next
back
表紙に戻る