革命戦争: 共和国の拡大


1792年4月、フランスはオーストリアへ宣戦布告を行い南ネーデルラントへと侵攻した。しかし革命で混乱していた国軍はうまく機能せず、貴族階級の兵士は言う事を聞かなかった。7月には事態を重く受け止めたプロイセンがフランスに対して宣戦布告し、ヴェルダンを占領した。

立法議会は義勇軍を募ることにし、「祖国は危機にあり」とする宣言を発表。義勇軍が終結すると、8月にはテュイルリー宮殿襲撃によってマリー・アントワネットらオーストリアへの内通者と思われた王室をタンプル塔に幽閉した。
9月、義勇軍は欧州で初めてとなる民間勢力による職業軍人への勝利をヴァルミーの戦いで飾り、11月にはオーストリアも撃破。


「どけどけーい!革命政権様のお通りだぞ〜い!」

「しょ、正気ですか…」

「フランスさん何してはるの!?」


フランスはベルギーとルクセンブルクを占領する。2人は革命勢力の勢いにドン引きしていた。それにはフランスも空元気で答える。


「お兄さんも長く生きて来たけどこんなの初めて!何がなんだ分からない☆」


ネーデルラント占領に前後して、フランス国内では選挙によって最左翼の国民公会政府が成立した。急進的な国民公会は1793年1月に公安委員会を設置して恐怖政治を開始した。
それにより、1月21日、ルイ16世は処刑されてしまったのだ。


平民による革命勢力が国王を処刑する。それは欧州諸国を震撼させ、恐怖のどん底に突き落とした。自国内に波及しようものなら、何が起こるか分からない。
ポルトガル女王マリアは発狂したほどだ。

ここに欧州君主国は、この革命を封じ込めるためにあらゆる手段を講じるべきだと考えを改めた。
そうして同月、イギリスの提唱で第一次対仏大同盟が組織された。メンバーはイギリスの他、オーストリア、プロイセン、イタリアやロマーノ、スペインもいた。
オランダは同盟にこそ加わっていないが、ベルギーたちを占領されたことで警戒していた。

フランスはこうした動きに対して、2月1日にイギリスとオランダに対して宣戦布告した。

アルレシアは当初、さほど強い海軍を持っているわけでもなく、知識も浅い革命勢力はアルレシア本国まで来ることはないと判断し、中立に回った。まずは情勢を注視するつもりだったのだ。
そしてついに革命戦争が本格化する。


「まさか坊ちゃんと一緒に戦うことになるとは思わなかったぜ」

「まったく、できれば避けたかったんですが。ベルギー、ルクセンブルク、準備はいいですね」

「は、はい!」

「頑張ります」


プロイセンとオーストリア、そしてネーデルラントは陸路で東部国境を通過しフランスへ侵攻した。


「イギリスさんおなしゃす!」

「任せろ!」


南部の軍港トゥーロンはイギリスと手を組み、中央政府を倒すべく反旗を翻した。他にもマルセイユやリヨンなど、パリ政府に対する闘争は各地で発生する。


「イタちゃん!ロマーノ!準備はええか!」

「ばっちりだよ!」

「けっ」


スペインはイタリア、ロマーノとともに東西からフランス陸路と海上から国境を超え、領内に進軍した。

そうした内憂外患の中で、フランスは世界初となる徴兵制を開始、当時としては考えられないほど巨大な120万人に及ぶ軍隊を構築した。数量で圧倒するフランスは国内に侵入したすべての敵国を追い出すことに成功する。
12月にはナポレオン大尉によってトゥーロンも陥落し、フランス軍は南ネーデルラントとラインラント西岸を占領した。


「はーい2人ともまた俺の家来ようねぇ」

「お手柔らかにしたってください」

「僕たちなんでいつもこんな目に…」


再占領されたベルギーたちはフランスに併合され、フランスは次の標的をオランダに定めた。オランダにはこれまでの戦争で負けまくった思い出しかなく、更にその海軍を接収すれば目と鼻の先にあるイギリス、そしてアルレシアへ容易に侵攻できる。


「雪だるま作〜ろ〜」

「帰りねま!!!」


1975年1月、オランダの運河が凍結した隙をついて、フランスは防御力の下がったオランダへ侵攻した。雪原となったオランダの低地にて、フランスとオランダは対峙する。

オランダにはまともな陸上兵力はない。これだけ凍結すると、洪水線も使えない。完全に防衛機能を失っていた。それでも、オランダは背中に守りたいものがあった。


「ここ通して海軍持ってかれてもうたら、アルレが危なくなるんでのぉ…」

「でも国民は前向きみたいよ?それって国としてどうなのかなぁ」


フランスが言う通り、もともと共和政のオランダは、まるで絶対王政のように全土を統率する総督という存在に飽きてきていた。そのため、民衆はフランス軍に対して好意的だったのである。


「国としてやない…男として負けられへん戦いがあるだけやざ」

「ヒュウ、格好いい」


そう口では言いつつ、オランダは勝てないことなど分かっている。国民に被害をあまり出さずに、総督のオラニエ家を亡命させる算段もつけていた。
アルレシアは、金さえあればこの情勢を乗り切れる。そう確信していたオランダは、すでに手を打ってある。せめて、負けてしまう自分ができることをしておきたかった。


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