燃えろ体育祭/後編−6
灯水は戦いが終わったあと、すぐに次の八百万vs常闇の第6戦を見ようとしたが、灯水が廊下を出てクラス席階に出たときにはもう終わっていた。大画面に表示されたトーナメント表を見る限り、常闇が瞬殺して勝ち進んだらしい。
クラス席に戻る頃には鉄哲と切島がキャラだだ被りの第7戦を繰り広げていた。
爆豪がいなくなり空いた上鳴の横に座ると、復活した上鳴が「おかえりー」と迎えてくれた。
「常闇君圧勝でしょ?やば」
「ほんとそれ!あいつも大概チートだよな」
「灯水ちゃんも十分チートだから気になるわ」
蛙吹も加わって話していると、切島と鉄哲が勝負がつかず引き分けになり、2人が回復するのを待って腕相撲で勝敗を決めることになった。キャラ被りだけでなく力も互角とは。
そして第1回戦の最後、第8戦。よく知るA組は冷や冷やとしながら見守った麗日vs爆豪。
戦力が圧倒的なようでいて、麗日は手を触れさえすればもう勝ち確。爆豪が圧倒的優位ではまったくない。
それを最も分かっている爆豪は、麗日に対して容赦なく爆破をつづけた。それでも何度も麗日が爆豪に向かっていくと、だんだんとその意図が見えてくる。
「麗日さん…考えたな」
灯水が上を見ると、上鳴も見上げて「うお」と声を発する。
上空には、爆破の度に麗日が浮かせた瓦礫が大量に浮かんでいた。なぜ麗日が低い姿勢を取っているのか分からなかったが、それは爆豪の視線を低く固定するためだったようだ。
それに気づけなかった観客からブーイングが上がるが、相澤が黙らせる。その直後、麗日は無重力を解除した。降り注ぐ瓦礫は、まるで小惑星帯の衝突のようだ。
しかし爆豪は、大規模な爆発によってそれらすべてを吹き飛ばした。反動で爆豪の腕もボロボロになっているが、もう麗日の方が限界だった。
結果、麗日が戦闘不能になり、爆豪が勝利した。
***
2回戦、第1戦。それはついに、という気持ちにならざるを得ない組み合わせだった。
轟焦凍vs緑谷、障害物競走1位と騎馬戦1位のトップ対決でもあるため、会場が大いに沸いた。こちらとしては気が気じゃない。
灯水の右隣には、戻って来た爆豪が座っている。その眼付きは鋭いが、2人の戦いを見極めようという冷静さや、先ほど聞かれていた会話のことなどへの複雑そうな色も見えた。
恐らく初手は、2人とも大きな力を想定してそれぞれ本気の攻撃を放つ。焦凍が構え、緑谷が手をデコピンのような形で構える。
そして、プレゼントマイクのスタートの号令が響いた、その瞬間、焦凍の氷結が放たれて緑谷に迫り、それを緑谷が吹き飛ばした。
猛烈な風が吹きすさび、観客から悲鳴が上がるほどの衝撃波。それは焦凍の放った氷結による冷気とともにこちらにも届いた。
寒さに慣れている灯水は何ともないが、女子からは「さっむ…!」という声が上がる。
続いて焦凍が2発目を放ち、緑谷がまた吹き飛ばす。さらに3発目、これも緑谷が打ち消した。
相次ぐ暴風が会場に吹くなか、そこに腕相撲で勝利して2回戦進出が決まった切島も戻って来た。それに気づいた上鳴が手を振る。
「お!切島、2回戦進出やったな!」
「おうよ!次おめーとだな爆豪!」
「ぶっ殺す」
「はっはっは、やってみな」
切島はまったく爆豪の暴言を気にせず答えた。器がでかい。しかし切島はフィールドの焦凍を見て顔をしかめる。
「とか言っておめーも轟も、強力な範囲攻撃ポンポン出してくるからなー」
「ポンポンじゃねーよナメんな」
「ん?」
「筋肉酷使すりゃ筋繊維切れるし、走り続けりゃ息切れる。個性だって身体機能だ、ヤツにも何らかの限度はあるはずだろ」
爆豪の言う通り、どんな強力な個性でも限度がある。灯水たち双子は、氷結を使いすぎると体に霜が降りて動きにくくなる。灯水は普段半燃の力で調整しているが、焦凍は戦闘中にはそれすら避けようとする。
緑谷は焦凍の限度を見定めようとしているらしい。4発目も吹き飛ばして耐える。
だが、そこで焦凍が近接戦に移行した。