旧拍手お礼文
−王子様(諾)
ノルウェー×夢主
アルレシアはノルウェーの家に商談に来ていた。
ソファーに座り、テーブルに書類を並べて向き合って話す。
船舶の数を増やすことについての協議を行い、お互いが持ち帰って検討する段階まで話すと、ノルウェーは紅茶を入れにキッチンへ向かった。
「いつも長居すんだよなぁ…」
普段は商談したらそれで終わりで帰るのだが、ノルウェーとの商談の後は残ってしまう。
「…離れたくないから、か…?や、まさかな…」
冗談のように言ってみるが、存外しっくりくる、気がする。
「……なんだその乙女思考は、アホか、」
頭を振って否定しようとするが、否定すると違和感が込み上げる。
試しに商談終わりに長居せずノルウェーの家を離れるところを想像してみる。
「…それは違うな……違うのか…」
結局乙女思考を否定できずがっくりした。
「どした」
戻って来たノルウェーが不思議そうにする。
「いや…ありがと」
紅茶を置かれ、カップに手を伸ばす。
「いてっ」
突然、指に刺すような痛みが走った。
関節が割れ血が滲む。
「大丈夫け」
「あぁ…」
「保湿サボったか」
「まぁ、な」
ノルウェーはアルレシアの指を見て、ポケットから何かを取り出す。
「俺ん家の漁師が使ってるやつだ」
どうやら保湿クリームのようだ。
「貸してくれんの」
「ん」
ノルウェーはクリームの蓋を開けながら返事をする。
細々と気を遣ってくれるな、と思ったら、ノルウェーは自分でクリームを掬った。
「…うん?」
「手貸せ、やってやっから」
「いやいいから、」
予想を上回る気遣いに痛み入るが、いたたまれない。
「遠慮すんでね」
ノルウェーは聞かず、こちらまでやって来て片膝をつく。
そしてアルレシアの右手をとり、掬ったクリームを塗り始める。
他人にやられるというのは初めてで、不思議な感覚にこしょばゆく感じる。
「ちゃんと保湿しねえと。指輪すっといてえぞ」
「…指輪?」
「ん。俺との婚約指「何の話だおい」
何やらおかしなことを言い出したノルウェーに、頬が引き攣った。
「何かおかしいことあっか?」
「おかしいことでしかねえな」
「?ずっと一緒にいるべ?何がおかしいんだ?」
ずっと一緒にいる。
そこで先程の乙女思考がぶり返した。
早く帰るだけとは言え、離れるところを想像できなかった自分。
急に熱が顔に集まる。
「顔あけえ」
「うるせ…」
ノルウェーが掴んでいた右手を離し、顔を隠す。
するとノルウェーは左手を掴んだ。
かと思うと、薬指にちゅ、とキスを落とす。
「幸せにすることを誓います」
わざわざ口調まで変えて、そんなことを言い微笑む。
ひざまずいて自然にやるその行為は、元より王子様然とした外見もあって、文句なしに似合う。
むしろ本物の王子様のようだ。
恥ずかしいやら照れやらもあるが、沸き上がるのは嬉しさ。
「…俺も」
かろうじてそれだけ言って、立ち上がって抱きしめるノルウェーの背中に腕を回した。