旧拍手お礼文
−仲良し一家(トマト一家)
親分領時代
人さらいに連れ去られそうになった事件以来、和解したオランダや巻き込まれたベルギー、ロマーノ、心配性なスペインは随分とアルレシアに過保護になった。
それはまぁ分かるのだが、それだけではないような気がしていた。
「…オランダ、」
「なんや」
「いや…俺トイレ行くだけなんだけど」
「そうか」
「なんで着いてくんだよ」
トイレに行くだけだというのに、オランダはぴたりと着いてくる。
「そこにアルレがおるからや」
「え?バカなの?」
「アルレバカやな」
「だめだこいつ」
アルレシアはため息をついて歩き出す。
すると、突然横の部屋の扉が開き、スペインが出てきた。
「アルレのトイレ姿見ようなんてそうはさせへんで!」
「ちっ…」
「うわ…」
スペインはびし、とオランダに指を向ける。
「親分の目が黒いうちはアルレの貞操は俺が守ったる!」
「や、お前の目もとから黒くねえだろ」
「せやからお前はなんもできひんな」
「はっ!せやった!オランダめ、やるな…」
「バカなの?なぁバカなの?」
「アルレバカやね」
「同じこと言ってやがる」
「ちっ」
天然を発揮するスペインと同じことを言ってしまったからか、オランダは悔しそうだ。
「アルレ兄ちゃんに関してはお兄ちゃんも思考回路おんなじやんなぁ」
ロマーノを抱いたベルギーが背後から声をかけた。
ベルギーから降ろしてもらったロマーノはたたた、とアルレシアのもとへ駆け寄る。
「これやる」
差し出された新鮮なトマトを受け取り、アルレシアは笑いながら「ありがとな」と礼を言った。
照れるロマーノを抱き上げると、羨ましそうなベルギーと目が合う。
「トマト取ってきてくれたんだろ?お疲れさま」
柔らかな髪を撫でてやればベルギーは嬉しそうに笑う。
「アルレはベルギーとロマにはデレるんやなぁ」
それを見たスペインは複雑そうな顔だ。
「ええなぁ、アルレ、俺と、あとオランダには割りと邪険やもん」
「こいつに同意するんは不愉快やけど…俺もそれは思っとる」
「だってお前らなんか…変態くせえ。なんだよトイレまで着いてくるって」
「えっ」
「っ!」
スペインよりも遥かに歳上にも関わらず、ベルギーなみに若く見えるアルレシアにそう言われることは、どこか反抗期の娘に辛辣なことを言われた父親のような気分になったようだ。
落ち込んだ二人に内心面倒くさいと思いながらも、アルレシアは二人の額をぴんと弾いた。
「変な顔すんな。…イケメンが台無しだぞ」
軽く笑いながら言ったアルレシアに、二人の機嫌はすぐ上昇した。
(アルレ兄ちゃん、二人を手玉にとっとる…やっぱ敵わへんなぁ)
この屋敷の中心に立つ憧れの人の姿に、ベルギーはニコニコと笑みが絶えない。
だが1つ疑問が沸いた。
「アルレシア兄ちゃん、トイレええの?」
「あっ」
いろいろと思い出したようで、少し焦ったようにアルレシアはロマーノを床に降ろす。
「ついてくんなよ!」と一言残し、アルレシアはトイレへと向かう。
残されたスペインたちは、お互いに顔を見合わせた。
「…まだまだ手は出せへんなぁ」
「いつか俺のもんにしたる。諦めねま」
「ウチやって負けへんで!」
「俺も頑張るんだぞちくしょー」
そんな話をして早500年、いまだ誰もアルレシアを落とせないまま今に至るのだった。