旧拍手お礼文
−隣のEU事情(欧州)
「アルレシア…EUに入ってくれないか…」
EU会議に呼ばれたアルレシア。
思い詰めたようなドイツの頼みに、思わず頬をひきつらせたのは、言うまでもない。
***
第二次ギリシャ危機をすんでで回避したEU。
本来なら第一次ショックの後の緊縮案でなんとかなったものが、ギリシャの「やだ」の一言で第二次ショックが引き起こされそうになった。
国民投票では財政緊縮案反対が勝利し、一時は全世界で株価が落ち込み、ユーロは全面安となった。
今はギリシャ議会の緊縮案受け入れでなんとかなっている。
しかし、PIGSとも称されるEUの爆弾たちはいまだその危険性を保持している。
「貯蓄率上がらへん、PIGSのPポルトガル〜」
「俺結構優秀な方だよ〜、Iのイタリア!」
「…借金…ギリシャ…」
「不動産投資しすぎたわ!Sのスペイン!」
『四人合わせてPIGS!』
「仲良しかよ」
アルレシアの冷静なツッコミに、スペインがケラケラ笑う。
「こうでもせんとやってけへんわ」
「案外ブラックだった…」
洒落にならないのは全員共通である。
「こいつらだけやない、他にも問題ばっかやざ」
ため息をつくオランダ、同調して頷くドイツ、頭を抱えるイギリス。
「そろそろ体で払ってもらうよ?」
目が笑っていないのはフランスだ。
「親分たちももうちょいやねんけどなー、」
「僕は勝手にやってるんで」
優しさが滲むベルギーと、マイペースに金融やITに勤しむルクセンブルク。
「まあまあ、誰だってそういう時期はありますよ、ねえスーさん?」
「…んだ」
フィンランド、スウェーデンと堅実な成長の国には余裕も見える。
「まあなーんどがなるっぺぇ!」
「俺もそんな気がするし〜」
「あなたたちはお気楽すぎますよ」
国の財政規模が小さいデンマーク、ポーランド、オーストリアやその他チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチア などもあまり影響はない。
一方で、PIGSに代わる新たな危険因子を指す言葉が、主にイギリスで使われ始めている。
色々あって自棄になったイギリスが叫んだ一言だ。
「UR all PIGS from HELL!(お前らみんな地獄からの豚どもだ!)」
事実上の内戦状態にあるウクライナ、一向に経済が上向かないルーマニア、先の通りのPIGS諸国、ルーマニア同様のハンガリーとバルト3国の頭文字をとったものだ。
いちいち上手いイギリスである。
「で、そんなEUに入れって?」
「ああ、正直、俺とフランス、イギリスだけでやつらを支えるのは限界がある。アルレシアを入れて信用度を高めたいんだ」
「俺に一ミリもメリットねえんだけど」
連帯保証人のようなものだ。断じて嫌だ。
イギリスが脱退したがるのも分かる。
「俺は日本や韓国とのFTA進めたいからな、EUには入らない」
「やはりだめか…」
落ち込むドイツや他の面々をみて、がめついアルレシアも心が揺らぐ。
罪悪感がないわけではないのだ。、
「…EUとのFTAなら、いいぞ」
「本当か!」
途端、パッと明るくなるEU勢。
あぁ、やっぱりこいつらには弱いな、と、アルレシアは苦笑しながら頷いた。