旧拍手お礼文
−1周回って(欧州)
アルレシアの魅力はギャップにあると人は言う。
人と言っても人ではない、国々のことである。
彼らはそれぞれの国家の歴史に応じた歳月を生きており、それだけたくさんの人間や国に会ってきた。
つまりは、それだけ多くの美男・美女を見てきたわけである。
その中でもアルレシアは群を抜いて美形だと国々は思っている。
その顔立ちは天使と称される綺麗なものであり、体も欧州の国にしては少し背が低いものの、彫刻のような均整のとれたものである。
どちらかといえば可愛い、と称されるが、その実、中身が大変男前である。
その見た目とのギャップが、アルレシアの魅力なのである。
そう、ギャップが。
もし、そのギャップがなくなり、見た目と中身が一致したら。
天使の渡合が増して、 より危ない目で見られてしまうと危惧されていた。
いた、のに。
「あー…なんだこれ」
ある世界会議にて、フランスが「アルレシアの見た目と中身一致した天使見てみたい」と言った途端、自称ブリタニアエンジェルなる不審者が何やら魔法()をかけた。
そして、アルレシアは光に包まれ、今にいたる。
「視線たけえな」
「…そっちいいいい!!??」
そこには、185はあるだろう高い身長にしなやかな体、より大人びた顔つきのアルレシア。
中身を見た目に合わせるのでなく、見た目を中身に合わせてしまったのだ。
あまりの衝撃にふら、としたフランスを、アルレシアが危なげなく抱き止める。
「…っと、大丈夫か?」
「…っ!ただのイケメンじゃないのおおおおお!!!」
下からのアングルのあまりの格好良さに、フランスは鼻血を出すがままにする。
ざわざわとアルレシアの変化を見守る国々の中、アルレシアは周りを見渡す。
「こんくらい身長あるとちげえな」
そう言いながら、見上げるばかりだったドイツのところに行く。
「うん、すぐ手が届く」
すっとドイツの頬を撫で優しげに笑うアルレシアに、ドイツは一瞬で頬を紅潮させ、「あ、あ、その、」と口ごもる。
「アルレシア兄ちゃんすっげー格好いいね!」
近くにいたイタリアは興奮ぎみにアルレシアに抱きつく。
「やっぱイタリアは可愛いな?」
そんな様子に昔を思いだし、アルレシアはイタリアの背中に手を回し耳元で囁く。
「ヴぇっ」と奇声を上げ、イタリアも頬を赤くしてすごすごと離れた。
「なんつー破壊力…」
ブリタニアエンジェルもといイギリスは、次々と沈められるEU先進国を呆然と眺める。
「おっ、久しぶりにイギリスも見下ろせたな」
中世以来だ、と嬉しそうにアルレシアはイギリスの頭に手を置く。
「昔はよくこうやってたのにな」
「〜〜〜!!」
元来照れ屋なイギリスがそれに耐えられるわけもなく、アルレシアにかけた魔法も解かないまま魔法で姿を眩ました。
「あかん、中世からの知り合いはこんままやとみんなやられるで!」
スペインはロマーノやベルギーをさっと隠す。
オランダは隠しきれず、ルクセンブルクはカメラを回している。
そんなトマト一家と、「また喧嘩するか?」と笑いながらデンマークとノルウェーの肩を抱くアルレシアと、それに悶える二人を見て、アメリカがついに立ち上がる。
「今こそアルレシアの魅力から世界を救うときなんだぞ!」
「でかくなったなぁ、ほんと。この姿でも抱き締められねえ」
「!?!?」
しかし、アルレシアの少し寂しげな抱擁と背中をぽんぽんと叩く優しい腕に、アメリカは速攻でやられた。
「なにやっとんじゃ」
呆れたようなオランダは、他のトマト一家の制止も聞かず、アルレシアのところに向かう。
身長はぎりぎりオランダの方がでかい。
「アルレ、」
「オランダ!新鮮だな、お前とこの目線で合うの」
「ま、物理的にはな。お前は、いつも心は同じ目線やろ」
「…?」
よく分かっていないアルレシアに苦笑して、オランダはアルレシアの胸をとん、と叩く。
「誰のことも対等に見とる。文化や文明やなくて、その本質を見れるやつやろ」
ほういうんが好きなんや、とオランダは薄く笑ってみせた。
途端、アルレシアは瞠目し、照れたように笑う。
「…やっぱ、見た目変わってもお前には勝てねえな」
「オランダ兄さん、我が兄ながら最強ですね」
「ちゃうでルクセン、あれはアルレ兄ちゃん好き過ぎて、どんなアルレ兄ちゃんでも動じんだけや。そんな程度の変化じゃ変えられへんほど、骨抜きにされとるいうことや」
「なるほど…兄さんは他の国々と違い、もはや一週回ってしまっているんですね…」
そんな妹と弟の分析も聞こえず、オランダとアルレシアはいつもと違う感覚を楽しんでイチャついていた。