小ねた集
−hate height(欧州)



●欧州身長事情
各国の平均身長の話




ある日の欧州会議、普段世界会議で一番騒がしくするのが欧州勢ということもあり、やはり例によってまともなことなど話さないまま雑談タイムとなった。


「そんでよ、日本の家で俺思いっきり天井に頭ぶつけっちまって!あの日本の焦る顔面白かったっぺぇ〜」

「削れろあんこ」

「ほんと削れろ」


デンマークは豪快に笑いながら、前に日本の家を訪れて天井の柱に頭をぶつけた話をしていた。
デンマークより5センチほど小さいノルウェーがチッと舌打ちをして言い、アルレシアもノルウェーに同意する。


「オランダもあるべ?」

「…昔ようやったさけ、今はもうせえへんわ」


デンマークよりもさらに数センチ背の高いオランダは日本とのかかわりが江戸時代からあるため、さすがにもうそんなヘマはしないという。


「あー分かる分かる、俺も昔よくやったわ」


すると、イギリスも勝手に用意したらしい紅茶を飲みながらオランダに笑って同意する。ちなみに全員に配られたのは珈琲だった。


「同盟結んだときとか、あいつん家行ってよく梁に頭ぶつけたな」

「くそ、お前ら全員縮め」


そんな周りに、アルレシアはそう吐き捨てて珈琲に砂糖を乱暴に入れる。機嫌が悪くなったアルレシアに、北海勢が首を傾げた。


「ど、どうしたアルレシア…?」

「どっか具合悪いのけ…?」


イギリスとノルウェーの困った顔に、アルレシアは少し落ち着いて答える。


「いや…俺の周りでかいやつばっかでむかつく」

「なーに言ってんだっぺアルレシア!お前はそれがめんこ「黙れやアホ」


むっとしたままのアルレシアに、デンマークは快活に笑うがオランダがその続きを言わせずに黙らせる。


「禁句やざ。ほれに、アルレはどんな身長やろうとかわええに決まっとるやろ、アホか」

「お前がアホか」


小さいからかわいい、というとアルレシアは基本的にキレる。それを分かってオランダはデンマークはを黙らせたが、結局変なことを言っているのは変わらなかった。
まあ、デンマーク、ノルウェー、オランダとこの3人がアルレシアを可愛いと評して数百年が経つ、さすがにアルレシアも慣れていた。


「にしても、結局俺らの身長がどう決まってるか分かってないよな」


そんなやり取りを引いたところから眺めていたイギリスだったが、ふとそんなことを言い出した。確かに、言われてみれば国たちの身長の決定要因は謎だ。


「なになに、何の話〜?」


そこへフランスも加わる。イギリスの隣でモナコと話していたが、モナコがベルギーやハンガリーとともに女子会に行ったためこちらにやってきたようだ。


「俺らの身長ってどう決まってんだろーなって話だっぺ!」

「へぇ…そういえば、言われてみると分からないかも」

「単純に国のサイズってわけでもなければ、国力でもないしな」


フランスとイギリスは、長い歴史を振り反って考えるが、そう単純なことではない。
国の面積ならオランダのでかさに説明がつかないし、国力なら身長が縮む国も多いはずだ。アルレシアもフランスたちよりさらに長い歴史を歩んできたが、どんどん小さくなっていく国は見たことがなかった。


「ただ、ベースは国民の平均身長な気がするけどな」


アルレシアは各国の身長差からそう結論した。
男性の平均身長ランキングでは、オランダが183.8センチで世界トップだ。
その次にデンマーク、ノルウェーが182センチ代、スウェーデン、リトアニア、ドイツが181センチ代である。
スロバキア、フィンランド、オーストリアが179センチ代、アメリカ、スイス、ポーランド、スコットランド、スペインなどが178センチ代。
そのほか大多数が175センチ以上だ。

世界平均は173センチで、アルレシアはこの世界平均と国民の平均身長が同じだ。そして、アルレシア自身も173センチくらいだった。


「ん〜、難しい話はドイツに聞いてみよう。ドイツ〜」


フランスは早々に考えるのをやめると、イタリアと話していたドイツを呼んだ。


「どうした?」

「俺たちの身長ってどうやって決まってるんだと思う?」

「身長…?そうだな…」

「わぁ、そういえば北海のみんなで背高いよね!アルレシア兄ちゃん以外」

「経済制裁不可避」

「ごめんてぇ!!」


無意識の喧嘩を売って来たイタリアにこぶしを向ければ情けない声を上げて黙る。
一方、ドイツは平均身長がベースだろうというアルレシアの意見をオランダから聞いて頷いた。


「そうだな、俺もそう思う。それに加えて、国力や経済規模、面積などが加味されるんだろう」

「……面積以外は申し分ねぇんだけどな」


ドイツの結論はアルレシアも近いものと感じていたが、アルレシアは面積以外はそれなりに良い。
175センチくらいあってもいいのではないかと思う。


「…アルレシアはそれくらいがちょうど…その…あ、愛らしく思うぞ」


目をそらして若干照れながら言うドイツ。こちらまで照れてしまって、アルレシアは「あっそ」とだけ返して、ごまかすように珈琲を飲む。

砂糖の甘さが、やたら気になった。


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