小ねた集
−National Joke 3(世界)
●シェークスピアもびっくり
国民性ジョーク3
ある日の世界会議にて、アルレシアは イギリスからシェークスピアの良さについて延々と語られるという拷問にあっていた。
「俺の家の文学と言えばカンタベリ物語にその日の出を見るわけだが…」
「アメリカ助けて」
「ハッ!助けを呼ぶ声!俺が助けるんだぞ!なんたって俺はヒーローだからな!」
耐えかねてアルレシアはアメリカに助けを求めた。お前の兄だろ何とかしろよ、という意味だ。
アメリカはイギリスと押し問答をした末、突然雑談に興じる会議に向かってこんなことを言い出した。
「よし!みんなそれぞれの得意分野でシェークスピアを表現するんだぞ!」
「なんでだよ」
〜後日〜
「じゃあまずは俺からだ!」
アメリカはそう言うと、部屋を暗くしてスクリーンに映画を流し始めた。
激しい爆発やら光やらとともに現れた亡霊と語るハムレット。
ハムレットは他のキャラクターたちをヘリや戦車で爆死させていく。
最後は突然現れた巨大なUFOを前に、すべてのキャラクターが一丸となって協力し、無事に地球の平和を救ってみせた。
「数億ドルかけてハリウッド映画化したんだぞ!すごいだろ!」
「お兄さんだって負けてないんだから!」
すると今度はフランスもスクリーンに映像を映し始めた。
どうやら某団体の舞台のようだ。いつもの巨大で壮麗な装置が、洗練され訓練された役者たちの超絶技巧をアシストする。
斬新な演出と不思議なメイク、謎の表現。まさにアバンギャルド。
開始から30分ほどして、ようやくヴェニスの商人だと気付いた。
「どうだいこの前衛的な作品は!あらゆる美をあらゆる角度から捉えた美しさの頂点さ!」
「それでしたら私も負けていませんよ」
今度は日本がスクリーンに映像を映した。フランスは語りたそうにしていたが、日本のものが気になるらしく素直に座る。
スクリーンは、やたら花びらの舞う庭園を映す。そこを走るのは華麗なドレスを着た女性。アニメだ。
『私コーデリア!どこにでもいる普通のブリテン王女!ある日、王国が分割されることになってもう大変!私、どうなっちゃうの〜!?』
可愛らしい女性を画面は映したあと、タイトルにポップな字体で『リア王』と浮かぶ。
アニメが終わると、なぜかフランスとアメリカが拍手喝采した。
「どうですかこの萌えリア王は!コーデリアとフランス王の少女漫画的な面だけでなく、エドガーとエドマンドのBL二次創作人気も視野に入れたマーケティング!」
「ヴぇー、じゃあ俺はそういうの作れないから歌うね〜」
うわ日本こわい、と各国が思ったあと、明かりがついてスクリーンは暗くなる。そして、イタリアがその前でふんわりと笑いながら歌い始めた。
高らかにカンツォーネを歌い上げるイタリアに、思わず聴き入る。
「私…私つい商業展開を…」と悔い改める日本の声が聞こえた。
あれは浄化されている。
シェークスピアの悲劇を悲しくも美しく歌ったイタリアに拍手が起きる。
「へへ、ありがとー」
「さすがだな、イタリア。では俺のシェークスピアも見てもらいたい」
イタリアの次に出てきたドイツは、ホワイトボードに鬼気迫るように何かを書き始めた。
それは、目の回るような数式。
「シェークスピアの描く人物たちの行動様式を数式にした。まず主人公だが、その心的ストレスにおける外圧面での要素をxとすると、」
「ど、ドイツさん、良ければそれはあとで論文にしてもらえると…」
「む、そうだな」
日本が諌めたことで、無言ながらそれを褒め称える各国の心の声が聞こえてきそうだった。
突然数式で表現したドイツの次に出てきたのはスペインだ。
「よっしゃ!俺は牛と戦うで!情熱!!見ててやー!!」
「なんでだよちくしょーめ!!」
「ごはっ」
どこから連れてきたのか、スペインは闘牛で表現しようとし始めた。ただ牛と戯れたいだけではないのか。
ロマーノはその謎の行動に得意の頭突きによってツッコミをいれていた。牛が感心したようにそれを見ていた。
「まったくお前らほんとに芸がないあるー!我のを見てみるよろし!」
中国はそんな欧米勢に対して何か細かいものを投げつける。拾ってみると、薄汚れた米だった。
「各作品の名場面を米に書いたある」
「先生なんでいつもそうなんです?」
一粒に一場面が描かれている。その技巧に全員言葉を失った。
香港だけが呆れたように冷静に突っ込む。
「次は俺!シェークスピアは俺ん家の人物説あるんだぜ!」
そして最後にひょこっと韓国が出てきて叫ぶ。ここまで東アジアのテンプレートである。
そんな各国の表現が終わると、ガタリ、とイギリスが立ち上がった。
「アメリカ、お前は本当に映画が何か分かってねぇな!フランスは何伝えたいのか分からねぇよバカ!日本、コーデリアはあんなに可愛くないしエドガー兄弟はくっつかない!イタリア、英語で歌ってくれ!ドイツ、言語にしてくれ!スペインはなんでだよマジで!!中国、なぜあえて細かいとこにした!?そんで韓国はさすがに無理があるだろ!!」
そして、イギリスはすべてを批判した。