小ねた集
−80,000A$ to Cockatoo(豪)



●オーストラリアの通信事業を阻むもの



とある世界会議にて、アルレシアは会場へ向かうため高層ビルのエレベーターホールにいた。よくエレベーターを待っていると色んな国に会うのだが、今日はアルレシア1人のようだ。
無言で待っていると、突然ホールに大きな声が響く。


「よぉ!アルレシアじゃん!」

「オーストラ、リア…え、えっ?」

「ん、どうかしたか?」


やってきたオーストラリアは、普段の探検隊のような服ではなくスーツ姿だ。鼻頭の絆創膏は変わらない。
だが大きくいつもと違うのは、頭の上だ。


頭の上に、白い羽根に黄色いトサカのオウムがいる。オウムは激しくオーストラリアの髪を突いているのだが、まったく彼は気づいていなかった。
自分がおかしいのかとアルレシアは動揺し、何も言えないままオーストラリアが勝手に話し始めるのを聞いていた。


「なぁ聞いてくれよ!俺ん家今ブロードバンド網作っててさ、2021年までに360億豪ドル費やすんだよ!」

「へ、へぇ…」


国土がバカでかいオーストラリアは、通信設備としてブロードバンド網を構築している。日本円にして数兆円の予算を組んでいた。
電線のように地上でブロードバンド網をつくっていると聞いている。

そしてなおも、オーストラリアの頭にはオウムがいる。ガツガツと頭を突いており、残像のように黄色いトサカが揺れていた。


「そしたらよ!電線をコカトゥーが食っちまって進まねぇんだ!あ、コカトゥーってオウムの一種で、白い羽根に黄色いトサカしてんだ!」

「え…え、は…?」

「なっ!驚きだよな!」


アルレシアはまったく違うところ驚いている。
コカトゥーとはオーストラリアに生息するオウムの一種で、フルーツから木製の窓枠まで何でも食べてしまうことで知られている。
すでにオーストラリアでは8万ドルがコカトゥーによるブロードバンド網への損害として報告されている。

このままでは360億豪ドルでは済まなくなる恐れがあるとして、政府は対応に追われているのだそうだ。


そして、オーストラリアはまったく頭にもアルレシアの動揺にも気づかないまま、やってきたエレベーターに乗って、そのまま上がっていってしまったのだった。



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豪州ブロードバンド網、敵はオウム
ロイター


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