小ねた集
−3



世界最大だけあって時間がかかったが、次はワンワールドの話を聞くことにした。うずうずとしているイギリスの方を向いて、「次の方どうぞ〜」と言っておく。


「パッと見スタアラより見劣りするかもしれないが、実力はそんなことないぜ」

「お前(んとこの会社)いるもんな」

「アルレシア…!」


イギリス最大のキャリアであるブリティッシュエアウェイズは、旧植民地路線などを中心に世界中に飛んでいる。
それを言っただけなのだが、イギリスはなぜか感極まったようにし、近くにいたオランダがケッと吐き捨てていた。


「ワンワールドは俺の連邦メンバーが多いのが特徴だな」

「そのわりにインドもカナダも南アフリカもエジプトもシンガポールもスタアラだよな」

「うっ…なんでだよあいつら…」


ある意味、利益になる方を優先する英連邦らしい行動かもしれない。もちろん、単純に合併などの影響もある。


「おいおい泣くなって〜」

「泣くとかマジウケるんですけど的な」

「しゃあないな、元気の出るおまじないや!ふそそそ〜」


そんなイギリスの肩をバシバシと叩くのはオーストラリア、周りでニヨニヨとしているのは香港、おまじないをするのはスペインだ。


「…フィンランド、お前いいの本当にここで」

「そ、それは…ねっ」


曖昧な笑顔ではぐらかす。さすが、欧州の日本と呼ばれるだけある。
その日本も、実は旧フラッグキャリアがワンワールドにいるので、日本も参加しているようなものだし、アメリカのアメリカン航空は世界最大の航空会社だ。


「何より、ワンワールドはカタールいるのがでかいな」

「だろ!!」


おもむろに元気になったイギリス。植民地の1つにして、中東の英領湾岸というかなり長いこと植民地だった小国だ。
カタールは石油に頼り切るモノクロ経済を脱却するため、航空と観光を国策として活性化させた。結果、中東系と呼ばれる中東航空会社の中でも抜きんでた成績を残している。
周辺国に断交されているのにも関わらずである。

フィンランドのフィンエアーも、無理やり北極を通り抜けて東アジアと欧州を結んでロシアに正面から喧嘩を売った負けん気がある。オーストラリアのカンタス航空は世界で最も評価の高いキャリアだ。
香港のキャセイパシフィックは東アジアから太平洋にかけての路線が非常に充実しており、スペインのイベリア航空は格安ながら欧州各地に飛行機を飛ばすつわものだ。


「路線網と質はJALやアメリカン、カンタスが請け負ってるし、カタールやブリティッシュもめちゃくちゃ各地に飛んでる。価格もイベリアやカタール、フィンエアーが強いな」

「アルレシアさんもどうですか!」


フィンランドも期待した目で見てくる。スカンジナビア航空に負けたくなさそうにしているのが分かった。


「ええやんアルレ、なんや変なメンツやけど悪ないで」

「お前が言うな」


イギリスが突っ込むが「え〜」とスペインは気にしていない。2人の関係も丸くなったものだ。


「ワンワールドの弱点は、北東アジアだよな」

「…、それなんだよなぁ…」


落ち込むイギリス。今日は情緒不安定のようだ。
ワンワールドの中で北東アジア3か国の会社はJALだけだ。しいて言うなら香港のキャセイパシフィックくらいである。
韓国の2大会社はスターアライアンスとスカイチームに、中国のフラッグキャリアはスターアライアンスでその他の大きな会社はスカイチームにいる。
なんだかんだ、これから3回連続でオリンピックがこの3か国で回る(平昌冬季、東京夏季、北京冬季)だけあって、金を大量に落としてくれるのは北東アジアなのだ。今のところ、アルレシアにとっては欧州線と北米線の次に重要な地域だ。


「規模感や路線網的には、総合としてスタアラにも劣らないけど…利益になるかって言われるとちょっと微妙だな」

「…まぁ、そこはアルレシアが決めることだからな」


そのあたりはイギリスも理解してくれているらしい。加盟国は少ない代わりに規模感がでかいワンワールドの次は、いよいよ問題児集団である。


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