デートしよう
−2
「ブルガリア!」
アルレシアは後ろから背中に抱き着いた。
後ろから抱き着くのは初めてで、意外と背中が広いんだな、と感じる。
「うわ、なんだよ」
剥がそうとしてくるが、耐える。
「俺は寒い、からこのまま行くぞ」
「なんでだよ!歩きづれーんだわ!」
肩甲骨にぐりぐりと額を押し付けると、一瞬ブルガリアの動きが止まる。
「…っ、離れろあほ」
ブルガリアはそれでもアルレシアを引きはがした。
「そんなに嫌かよ」
「そうじゃねーけど…」
「じゃあいいだろ」
隙をついてブルガリアのジャケットのポケットに手を突っ込む。
「ポケット制圧ー」
「あ、てめ、俺の手を差し置いて」
「どっか入るのに良さそうなとこ見つけるまでな」
「どんくらいかかるかわかんねえだろ」
「目的地決めないからだ」
「適当に歩けば何とかなるだろ、こういうの」
まだそう言うブルガリアに、アルレシアはため息をつく。
「はいはい」
アルレシアは諦めてポケットを解放し、自分のそれに手を入れた。
ブルガリアの発言。
それは、社会主義が抜けきっていないことによるのだろう。
旧社会主義国では、今だ国民は「国が何とかしてくれる」「生活ヤバくても何とかなる」という意識や風潮がある。
実は、東欧諸国の経済が低迷しているのはこうした国民意識によるところも大きい。
現に、最も早くユーゴを離脱し資本主義化したスロベニアは高い水準に経済が良くなりつつある。
国民意識が資本主義についていかない限り、成長が見込めないのが東欧の現実だ。
だからブルガリアの行き当たりばったり精神はそのままにしておこう。
アルレシアはそう考え、せめて隣に立った。
「釈然としねー」
「はいはい」
「それうぜーんだわ!」