無着者の執着−12


昼神は後ろを慣らすために指をゆっくりと差し込みながらも、まるで部活の最中のように少し息を大きくしていた。疲れなどではもちろんなく、呼吸を大きくして酸素を多く取り入れることで平静を保とうとしてくれているのだ。
ともすれば自分に負けてすぐに入れてしまいそうになるところを、自分を律するために息を荒くしている。

その心遣いと昼神の本気の欲に、それらを一心に向けられることがクラクラとするほど堪らない気持ちになった。


「指、3本入った。分かる?」

「わかんね、でも、変な感じする」

「痛くはない?」

「ん、」


強いて言えば苦しい。伊吹も呼吸を整えつつ答えると、昼神は器用に指を差し入れたまま、上体を倒して伊吹を抱き締めた。肌と肌が初めてぴったりと触れ合った。
熱い体が触れ、弾力のある筋肉が熱を伝える。


「そろそろ入れるけど…本当に痛かったら止めるから、ちゃんと言ってね」

「わかった。でも、俺も、ちゃんと幸郎のこと受け入れたいって思ってんのは、忘れんなよ」


肩口に鼻先を触れさせるようにして顔を寄せると、昼神は微笑んで軽くキスを落とした。

そして体を起こすと、指をゆっくり引き抜く。ジャージと下着を脱ぐと、臨戦態勢の昼神の自身が屹立する。ゴムをそれに被せると、ローションをたっぷりと手に取ってゴム越しに自身に纏わせる。慣れた手付きからして童貞ではないようだが、それはそれで安心できた。

昼神はタオルで軽く手を拭くと、自身を伊吹の後ろに宛がった。


「力抜いて、入れるよ」

「ん、」


熱いそれが、ぐっと押し入ってくる。拡げられる感覚がダイレクトに分かり、肉が割り開かれていく。


「っ、は、んん、」

「っ、」


昼神も息を詰めて、少しずつ入れていく。たまに拡げられることに引き攣るような痛みが走るが、すぐに引いていく。代わりに、後ろがいっぱいになる苦しさが腸を刺激した。刺さる、という感覚がまさに感じられた。

そして、尻に昼神の肌が当たり、すべて入ってきたのだと分かった。力を抜いていても、昼神にもそこそこ痛みがあるらしい。伊吹も苦しさに慣れず、息が荒くなる。


「は、はっ、ん、」

「ふー…ッ、伊吹、大丈夫?」

「大丈夫、だけど、まだ動くな…」

「わかった」


昼神は頷いて、また上体を倒して伊吹を抱き締める。温もりが与えられることで、体が弛緩した。

好きだと言われて嬉しかった。一緒に時間を過ごす中で、隣にいることが落ち着いたし、家庭に居場所がない伊吹の居場所になると言ってくれたとき、救われた。
だがその気持ちが恋愛の好きという気持ちであったか、正直伊吹には実感がなかった。でも、昼神になら何をされてもいいと思った。特定の関係になれるのなら、同じ気持ちを返そうと考えた。

今、こうして繋がった瞬間、好きだ、と強く実感した。


「さちろ、すき、すきだ…!」

「っ、伊吹、伊吹、俺も好きだよ、」


ぎゅうと背中に腕を回して抱き着く。肩に目元を埋めてぐりぐりと頭を寄せる。
昼神もより強く抱き締めようと体を寄せた。その途端、入ったままの昼神のものがぐ、と奥を突いた。それに、痺れるような感覚が脊髄から走る。


「っあ!」

「わ、ごめん!大丈夫?」

「っ、っ、だい、じょうぶ…だから…も、動け…!」


これはまずい、と本能が言うが、早く済ませなければと口ではそう言っていた。昼神も限界だったらしい、少しだけ引き抜くと、少しだけ勢いをつけて突いてきた。


「あッ、んぁ、ッ、!」

「は…っ、伊吹、」


だんだんと腰を打ち付ける動きは加速し、引き抜かれる幅が増して突かれる重さが重くなる。そのたびに漏れる声が大きくなっていき、昼神の背中に回した手に思わず力が入る。爪を立てないようにしていたが、動きにくいのか昼神が体を起こすと、その手を取られてベッドに縫い付けられた。
完全に昼神の目からは余裕は消えて、呼吸を短くして腰を勢いよく打ち付けてくる。
腸に響く苦しさは重い快感に変わっていき、拡げられる入り口は抜き差しされる度にピリリとした快感を走らせる。

手を押さえられて組み敷かれ、思い切り腰が動かされる状態が、まさに抱かれているという感じで、伊吹はぼんやりとする頭で多幸感に包まれる。


「さ、ちろッ、ん、あッ!イ、きそ…!」

「おれもッ、はっ、やべッ、」


昼神は伊吹の自身を扱き、急速に高めていく。腰の動きも速くなっていき、互いにラストが近付く。


「イ、く……ッ!!」

「ッ……!!」


そして昼神はゴム越しに中で果て、伊吹もほぼ同じタイミングで白濁を吐き出した。



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