連載: cuddle eagle struggle−2


特別美味しいわけでもまずいわけでもない食堂の夕飯を食べたあと、伊吹は2人の部屋を見に行くことにした。高校で寮というのもあまり聞く話ではない、せっかくなら2人部屋も見てみたかった。

他愛のない話をしながら廊下を歩き、2人の部屋に着いた。もうすでに慣れたように鍵を回し、川西から部屋に入る。「ちょっと散らかってるけど」と言い置いているのはなんの安全策だろうか。
白布に続いて招かれると、まず正面に窓のある壁が見えた。両側の壁際にベッドが頭を玄関側にして並んであり、それぞれの間は2メートルないくらい。机はベッドの足下側に両側の壁に向かって置かれている。

部屋にトイレと洗面台はあるが風呂はなく、クローゼットは玄関側の壁に格納されている。

そうした基本的な部屋の構造に加えて、ベッドの間を玄関に向かって段ボールが国境線のように置かれている。荷ほどきが完全には済んでいないらしい。その線から左側が白布の空間だろう、あまり物は散らばっていないが、意外と服は畳まれずに床に放っておかれていた。
川西の右側はジャージやボール、筋トレ用品など色々と散乱しているが、そうした物自体はきっちりと管理されていて、服も畳まれてはいた。ずぼらの方向性が若干異なる。


「散らかってるか散らかってねぇかで言えばきたねぇな」

「散らかってるかどうかで言えよ」


白布のツッコミを受けつつ、伊吹はとりあえず招かれるまま川西の方へ進む。棚はスカスカだ。下部に月間バリボーが並んでいるくらいで、教科書類は机に山積みだった。教科別に並んでいるところが変にきっちりとしていた。


「なんつか、今日会ったばっかだけど、お前っぽいな」

「それ悪口?」

「お前しだい」

「じゃ、誉め言葉として受け取っとくわ」

「次伊吹の部屋見せろ」


白布は散らかしていた服を適当にベッドに投げてから、タオルや着替えなどをもって声をかける。伊吹の部屋を経由して浴場に向かう動線を描くのだろう。川西も意図に気づき、タオルと服を引っ張り出す。確かに、ここからなら伊吹の部屋を通ってから階段を下りればすぐに風呂だ。


2人の部屋を出て、今度は廊下をまっすぐ突き当たりへ向かう。角部屋に1人で過ごす特待生の部屋だ。すれ違う生徒が川西の身長を羨ましそうに眺めるのを横目に、少し歩いてようやく伊吹の部屋に到着する。


「別に面白いモンねぇけど」

「図書館みたくなってんの?」

「特待生へのイメージがよく分かった」


川西のアホな発言に呆れてから部屋に入る。あくまで2人部屋を1人で使っているだけであるため、構造は変わらない。玄関の正面と、右手にも窓があるくらいだ。ベッドは右側、机は正面、本棚は左側の壁という構造になっている。すでに本棚にはある程度、本や教科書をまとめている。


「やっぱ勉強できるヤツは部屋綺麗なのか…いや、でも白布…」

「うるせぇぞ太一。やっぱ一人っていいな、すげー広い」

「ものが少ねぇだけだけどな。趣味もねぇし」


そんなことに金をかけられなかったのだ、当然である。貰い物のバレーボールとハンドグリップくらいだろう。


「白布にいじめられたらここ来るわ」

「太一がうざくて殺しそうになったらここで頭冷やす」

「世紀末かよ」


そんなつまらない部屋だが、2人は特にそれを気にせず入りびたる気まんまんだった。テスト前は立ち入りを制限するべきだろう。特に川西あたりはしれっと私物を置いて行きそうだ。
伊吹は寝るとき用のジャージとバスタオルをクローゼットの定位置から出して、財布とスマホを机に放る。そろそろ入浴して寝てしまいたい。若利はもう寝る用意を済ませた頃だろう。



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