連載: the other rather together−3
改めて、金髪の騒がしい方が侑、銀髪のぼう、としている方が治だと分かってから、子供組は2階の部屋に行くことになった。親たちは込み入った話があることもそうだし、子供たちが思いのほかうまくやっていけそうだと分かったのか、自由に話ができるように時間をつくったようだった。
簡単に家の構造を案内してもらってから2階に上がると、部屋が二つあった。階段の先に僅かな廊下と扉が二つ並び、右手が侑、左手が治だ。
「
治ん部屋、昔使うてた二段ベッドやから伊吹は治と同じ部屋な」
「…サム?」
「せや。治はサム、俺はツム。外国人みたいでかっこええやろ」
「…へぇ、」
反応うっす、と侑が騒いでいるが、双子であだ名のようなもので呼ぶのかと不思議な感じがした。ちょっと人と違う感性なのだろう。伊吹は普通に名前で呼ぶことにした。
「まぁ、部屋のことは俺はいいけど…治は良かったのかそれで」
「ま、喧嘩はしたけどええで。ええヤツそうやし」
歯にもの着せぬ言い方に苦笑する。お眼鏡にかなってよかった。中に入ると、右側に二段ベッドが大きく幅を取っており、左側にカーペットが敷かれローテーブルが置かれていた。ベッドが大きく、勉強机は置かなかったようだ。
「ベッドは上の段な」
「ん、分かった」
昔はこちらの部屋に双子がいたようで、隣の部屋は物置だったらしい。物置を片付けて双子が分散する際、二段ベッドの下の段だけ治が使い続けることとなった。
手で持って来た荷物を床に置くと、「なぁなぁ」と侑が隅に転がっていたボールを手に取る。
「せっかくやしバレーせえへん?角名たちも体育館借りて練習しとるし混ざってこよ」
「言うと思ったわ。伊吹、どうする?」
「構わねぇけど、部活の人?」
話の流れから察すると2人は頷いた。
いわく、今日はちょうどインハイが終わるまで点検できなかった体育館を点検しているため、部活はもともと休みだったらしい。そこで、部活のメンバーの一部が近所の体育館を借りて自主練しているそうだ。本当はいろいろと話して距離を縮めるべきなのかもしれないが、言葉だけがすべてではないのもまた事実だ。少なくとも今、バレーをしたいという気持ちは3人に通じていた。
「じゃ、さっそく行こ!」
「待てや侑、着替え」
「あ、せやな。俺の貸すわ」
まだ荷物の大部分が届いていない伊吹はスポーツウェアを持っていないため、侑が貸してくれることになった。正直体格差が心配でならない。
「あー…ジャージの下は持ってる」
「そか、ならシャツだけでええな」
「持って来たで〜」
侑にシャツを渡されたが、黒いシャツには大きく筆で「網走監獄」と書かれていた。思わずなんでやねんと言いたくなったが、本場の2人の前で言うのが憚られたため無言になってしまった。
中学の修学旅行が北海道だったからという侑の言葉に呆れつつ、なんでもいいので受け取って持ってきていたジャージの下を合わせて鞄に入れる。着いたら着替えればいいだろう。タオルは治が用意してくれたので、満を持して体育館へ向かう。リビングの両親に声をかけてから、炎天下の外へと出た。
「あっつ…」と思わず呻くが、侑と治は特にそういう素振りも見せずにいる。
「やっぱ仙台からやと暑い?」
「クソ暑い」
「まだマシな方やで〜」
侑はからかうように言うが、伊吹としてはもはや死活問題だった。いくら太平洋側で結構暑くなるとはいえ、やはり仙台とこちらではまったく気候が異なる。