第一話: กระต่ายหมายจันทร์−7
それから数時間、伊吹は瀬見と夜久の間に座って三人で駄弁って過ごした。こういう時間をこの三人で過ごすということは初めてだったこともあり、それなりに話は盛り上がり、わりとあっという間に時間が過ぎた。
やがてJG1105便とRM13便も到着し、及川たち全員がスワンナプーム国際空港にやってきた。武田を通して合流地点を教えていたため、全員伊吹たちがいるベンチまでやってきた。
やたら日本人がまとまっていることに目線は少しあったが、人数が増えたことで会話も盛り上がり、最終的にはMidnightで暇な時間を過ごしただけとなってしまった。事件を解決した伊吹たちと違い、及川たちは本当にただ東京から何度も飛行機に乗っただけとなってしまう任務だった。
「よし、じゃあそろそろ移動しようか」
全員が揃い、帰国便のチェックインも始まったところでEASTゲートに向かうことになった。及川の号令で全員動く歩道を使ってひたすら東へ歩く。建物の中なのに、10分近く歩くことになるほどこのターミナルは巨大だ。
それをゆっくりと歩いて行き、またフライトか、と思っていた、そのときだった。
突然、伊吹は建物内に魔力を感じた。あまりにいきなりのことだったため、伊吹は動く歩道の真ん中で立ち止まってしまう。後ろにいた赤葦が突っかかってしまい伊吹を抱き締めかけたが、昼神にそれを止められていた。
しかし伊吹はそれどころではない。魔力反応は急速に高まっていく。その強さに、及川や侑など敏感な者たちも気づいた。
その次の瞬間、突如として向かっているEASTゲート方面から爆発音が響き渡った。爆発音が広いコンコースに木霊していき、同時に人々の悲鳴が一斉に上がる。ガラスの割れる音もあちこちから聞こえてきた。
「なんだ!?」
「こん爆発、爆弾やないで!!」
やはりすぐに気づいた侑が言えば、全員の気が一気に引き締まる。テロはどうやら終わっていなかったようだ。
コンコースにいた人々は一斉に東から西へと走り出す。悲鳴を上げながら、爆発音のした方を見て何が起きているか確かめようとしていた。
その直後、銃撃音も複数響きはじめ、さらに悲鳴が増幅した。
「赤葦君はやっくんに防御魔法の座標共有、伊吹と侑君は先行して!」
「了解です」
「了解」
「了解したで!」
及川の指示を受けて、すぐに伊吹は侑とともに動く歩道からベルトを乗り越えて床に出ると走り始める。逃げ惑う人々が邪魔なため、伊吹は風気魔法によって侑も浮かせて通路上空を飛ぶ。人々は驚いたようにこちらを見上げていた。
魔法科兵による戦闘がほとんどなかった東南アジアでは珍しいかもしれない。
「これ、結構難しいんやなぁ…!」
「へばんなよ」
「誰がへばるかぃ!」
初めて飛ぶ侑は態勢を保つのに戸惑っていたが、煽ってやればさすがというべきかすぐに体勢を立て直した。
「俺が運んでやるからお前は俯瞰透視しろ」
「ん、了解」
侑に透視を任せ、伊吹は風気魔法の維持と前方の確認に集中する。油断すると構内案内の看板や上階の渡り廊下に激突してしまうためだ。眼下では変わらず多くの人々が反対方向へと悲鳴を上げながら走って行く。
「ッあかん、敵が思ったよりぎょうさんおった!」
「数は」
「コンコースAに8、Bに6、Cに3!そんで、今Dでも10人がライフル構えとる!」
「っ、マジか、あーくそ、無線ねぇんだった」
「Dの方は京治君が気づいとると思うで、でもこれやと分散して戦うことになるなぁ」
「及川さんが分散させると思う、俺らが戦闘してるコンコースには派遣しねぇから、俺たちは一番数がいるAに行くぞ」
「んうぃーっす」