封鎖終局四海オケアノスI−9
その後、ドレイクの勘によってエイリークの船が見つかり、数百年前の様式であるヴァイキングの船から海図が見つかった。
翻訳はカルデアに任せ、一同は船に戻って島を後にする。あとはしばらく、手に入れた海図に沿って島を転々と回っていくことになる。
やがて船が航海を続けていると、気候が若干変わった。ドレイクも気づいたようで、甲板にいた立香と唯斗に「味が変わった」と言った。
どうやら風向きや海流が変わったらしい。
「…これは、地中海、か…?」
「そうなの?」
「分からない、さすがに肌だけで海が分かるほどじゃないしな。ただ、俺が暮してたのはフランスの大西洋側だから、大西洋っぽさがなくなったのは確かだ」
「へぇ〜」
なんとなく、唯斗はこの海域が地中海のような感覚を覚えたが、あくまで古代ローマに近しいものを感じたのと、かつて暮したブルターニュの海とは違ったからそう思っただけだ。
先ほどまでいた海の方が、ブルターニュの海に近いものだった。
そのまま船が海図通りに進むと、正しく島が見えてきた。かなり大きい。
幸いにも、立香も唯斗も船酔いはしなかったが、やはり陸地というだけで安心するものだ。
上陸すると、ロマニから通信が入る。
『この島はさっきと比較すると格段に大きいな。おかげで霊脈のポイントも発見できた。座標を送るから、ひとまずそこを目標にして欲しい。ただし、いくつか生体反応もあるから要注意だ』
サーヴァントではないようで、ドレイクの同意のもと、一行は森の中を進んで島の奥を目指すことになった。ドレイクは霊脈を直感しているのだろうか。
ようやく召喚サークルを確立できるため、戦いがいくらかマシになる。
森を抜けると、平原に出る。まるでフランスやイタリアの平原だ。とても島とは思えない。
「広いねぇ。島とは思えないわこりゃ。それにいい風だ」
「そうだね、なんかローマみたいだ」
ドレイクに立香も頷く。この島に来て、ようやく立香とマシュも地中海っぽさを感じたらしい。唯斗の直感もそれなりに合っているようだ。
ポイントとなる座標に召喚サークルを確立し、これでカルデアからサーヴァントを呼べるようになる。ほっと一息でもつきたいところだったのだが、突然、地面が激しく揺れ始めた。
「地震…?!」
驚いて全員地面にしゃがむ。慣れていないマシュの表情はこわばっているが、船で揺れに慣れているドレイクや、地震大国に暮らす立香と唯斗はそこまで恐怖などはない。
ただ、このタイミングでこんな揺れ方をしたことに唯斗は疑問に思う。
「地質的な揺れ方じゃない、魔力を感じる」
「サーヴァントでしょうか?」
「どうだろうな。ただ、魔術による揺れだと思う」
揺れが収まると、立ち上がって周囲を警戒する。アーサーも何らかの気配がないか索敵をするが、首を横に振った。
「敵性反応はすぐには見つからなかった。近くにはいないようだ」
「ならいい。船と部下が心配だから、いったん戻ってかまわないかい?」
「そうしましょう」
ドレイクの要望で、一度船に戻ることになった。
マシュはカルデアとの通信を試みるが、繋がらない。索敵してもらおうと思ったのだが、頼れないようだ。召喚サークルを設置したにも関わらず通信が途切れるのはおかしい。
そうして砂浜に戻ると、唯斗は今起きていることの正体に気づいた。
「姐御!船が動きません!」
「なんだって?」
船では男たちが慌てており、報告を受けたドレイクも訝しむ。
「ドレイク、立香、マシュ。この島全体が結界に囲まれてる」
「え…!?」
「魔術師の魔術じゃない。多分、サーヴァントの宝具か何かだ」
唯斗の推測に、立香とマシュは顔を険しくする。
一応、唯斗はアーサーを見上げた。
「破れるか?」
「破ることはできるけれど、船を結界から出すほどの穴を維持することはできない。大本を叩くほか無いだろう。僕も、サーヴァントによるものっていうマスターの推測に同意するよ」
「それではサーヴァントを探しに行きましょう。幸い、召喚サークルは機能しています。戦闘になっても味方が呼べるので、こちらの体勢はさほど乱れていません」
「よし、じゃあお前たちはそこにいな!」
再びドレイクは船員たちを船に待機させ、立香たちとともに結界を展開しているサーヴァントを探しに行くことにした。どんな意図でこんな大規模な結界を張ったのかは分からないが、敵性サーヴァントであることを前提にした方がいいかもしれない。