封鎖終局四海オケアノスII−2
新たに仲間に加わったアルテミスとオリオンだが、どうやら本来はオリオンが召喚されることになっていたようだ。そこにアルテミスが割り込み、オリオンの権能がアルテミスに入った状態で格落ちし、オリオンは人形になってしまった。
とはいえその力は本物で、難なくワイバーンとドラゴンを倒し、船体の修繕はつつがなく終了した。
いよいよ黒髭をこちらから仕留めに行くことになり、ゴールデン・ハインド号は竜の鱗で補強して大海原にこぎ出した。
船の補強だけではない。今回はきちんと作戦もあった。
ポセイドンの子であるオリオンは水面を歩くことができるため、その力があるアルテミスが、会敵してこちらの船に黒髭たちが気を取られている間に回り込んで相手の船に乗り甲板を攪乱。大砲を撃ち返すために火薬庫へ移動する船員にオリオンがついていって爆発させる。
その隙にゴールデン・ハインド号で突っ込んでいき、一気に攻勢を仕掛けるという寸法だ。
前回のように混戦しないよう、計画的に乗り込んで、立香も唯斗もランサーによって戦う。
問題は黒髭本人とヘクトールだ。アンとメアリーはアルテミスとドレイクが相手する。
唯斗は、ヘクトールに対してアーサーとディルムッドを差し向けて応戦させ、立香はマシュとともに黒髭を相手取る。
そうして、前方に黒髭の船を捉えると、いよいよ作戦が始まった。
アルテミスたちを見送り、エウリュアレの遠隔攻撃が最初の攪乱を開始する。
立香はランサーを召喚し、唯斗もディルムッドを召喚する。
「にしても、今回はギリシアと大航海時代の混合なんだな。めちゃくちゃだ」
ランサーは混乱する黒髭の船を見ながら笑った。隣に立つディルムッドは若干緊張した面持ちだ。
「まさかあなたとともに戦うことになろうとは」
「ほんとにな、ギリシアと大航海時代に割り込むケルト神話ってなかなかパンチ効いてんな」
「クーフーリンとディルムッドが話してるところを見る時点でとんでもないけどな」
後ろから唯斗が言えば、振り返ったランサーはニヤリとする。
「アーサー王とディルムッドでヘクトールに挑むお前も大概だぞ」
「…確かに」
そんなことを話していると、ついに船は黒髭たちを補足した。前方の船が突如として爆発し、側面から黒煙と炎が吹き上がる。悲鳴が上がるのを見ながら、ドレイクは号令を出す。
「取り舵一杯!!突っ込むよ!!」
ゴールデン・ハインド号は竜の鱗をつけた船首でアン女王の復讐号に突っ込んだ。こちらはびくともしないが、相手の船体を突き破って側面を押しつぶす。
繋がったそこから、ランサーとマシュが立香とともに乗り込んだ。
「ディルムッド、アーサー。俺はこっちに残るから、ヘクトールを頼んだぞ」
「任せて」
「お任せください」
二人は頷いて、立香たちに続いて相手の船に突入した。船首付近にいるヘクトールに先攻を仕掛け、激しい剣戟が始まる。
それにしても、ディルムッドはやや戦いづらそうだ。状況故にではなく、どこか、力を出し切れていないような気がするのだ。
その理由こそ分からないが、今はどうしようもない。
混乱する相手の船に対して、こちらは乗り込んできた敵兵を唯斗とドレイクで倒していくだけで整然としている。
エウリュアレはアステリオスが守っており、船体に傷もない。押し切れるのではないだろうか。
さすがにまずいと思ったのか、メアリーとアンが黒髭の前に出て立香たちと戦闘する。
立香はエリザベートを追加で召喚して応戦し、二人を打ち破る。
かつて海賊共和国と呼ばれた英領バハマを拠点としたグループにいたメアリーとアンは、海賊の時代が終わろうとしていた18世紀初頭、男たちよりも勇敢にバハマ総督の軍と戦ったことで知られた英霊だ。
息の合った二人は、海賊船で互いに男装している状態で出会い、よく似た境遇が故に信頼し合っていた。