封鎖終局四海オケアノスII−15


アルゴー号の甲板に聳える魔神柱と、その前に立つメディア。
対してこちらのゴールデン・ハインド号には立香とマシュ、ドレイク、唯斗、アーサーの他に、ダビデ、アタランテ、エウリュアレ、オリオン・アルテミスという布陣で、正直かなり人が多い状況だ。
加えて、キャスター相手に接近戦は芳しくない。だが魔神柱には直接攻撃を加えたい。


「唯斗、アーチャーが多いから近距離戦は1人に任せたい」


立香が提案してきたため、すぐにその意図を理解する。それは理に叶っているため、唯斗も頷いた。


「アーサー、魔神柱への近距離戦を頼む。アーチャーたちの攻撃には、お前なら当たらないな」

「当然。遠距離攻撃のフォローは頼んだよ、藤丸君」

「分かった!」


立香は仮契約しているダビデたちへの指示に集中するため、召喚は行っていない。


「マシュ、この船の防御!ダビデ、アタランテは魔神柱に、アルテミスとオリオン、エウリュアレはメディアに一斉攻撃!ドレイクは…」

「あたしはどっちもフォローするよ」

「うん、お願い!みんな、やろう!」


立香のまっすぐ響く声に、その前に立つアーチャーたちは頷く。好戦的なアルテミスとアタランテだけでなく、ダビデや、面倒そうなエウリュアレも宝具を展開し始めた。
光の矢、輝く石、もはや光線のような矢などが次々と放たれ、魔神柱に直撃する。機関銃というより、迫撃砲の連発だ。

アーサーは目にも留まらぬ速さでそれを避けながら、魔神柱に連続して剣をたたき込んでいく。
ローマと違って至近距離に近づかないため、魔神柱からの攻撃は無数の目による「凝視」の攻撃のみとなる。それすら、アーチャーたちの弾幕によって攻撃する前に防がれていた。

すると、メディアが宝具の展開を開始した。円が複数に重なった魔法の杖が紫色に輝き、急速に魔力が凝縮され高まっていく。


修補すべきすべての疵(ペインブレイカー)


メディアが輝く杖を振ると、魔神柱の傷が塞がっていく。回復の魔術らしい。
さらに、魔神柱の瞳がギロリと光り、こちらの甲板に突如として光の柱が立ち上がった。下から突き上げるような衝撃波の柱は、甲板を吹き飛ばしてマストを傾かせる。ロープが切れて音を立てながら揺れ、甲板にいたアーチャーたちは階下に落下した。
それで怪我するようなことはなかったが、唯斗と立香はギリギリのところで落下を免れた。


「っ、ランサー!!」

「ディルムッド!」


火力が途絶える、そう危惧したのは立香も同様で、揃ってランサークラスを呼び出した。再びランサーとディルムッドが並び、そしてアルゴー号に聳える魔神柱を見て目を見開く。


「マスター、これは…」

「うへぇ、これが本物の魔神柱ってヤツか」


2人ともカルデアの記録では知っているが、生で見るのは初めてだ。
顔をしかめつつ、崩れた木の板の下に落ちたアーチャーたちが甲板に戻ってくるのを確かめた2人は、揃って魔神柱へと走り出す。言わずともやるべきことは分かっているらしい。

ランサーは右側から、ディルムッドは左側から魔神柱へと駆けていき、その隙にアーサーは背後から瞬間的にメディアに迫って、背中から切りつけてゴールデン・ハインド号へと吹き飛ばした。


「きゃあっ…!」

「悪いなコルキスの魔女」


マストに叩き付けられたメディアに、アタランテは素早く矢を放った。背中からその矢に刺されたメディアは呻いて落下し、それをさらにアルテミスの矢が再び吹き飛ばしてアルゴー号の甲板に叩き付けた。

一方、魔神柱はディルムッドとランサーがそれぞれクロスするように切りつけて、汚い血しぶきを海上にまき散らす。


「マシュ!あたしを近くまで連れてきな!」

「っはい!」


ドレイクはそこでマシュにそう頼んだ。すぐに頷いた立香に、マシュは応じてドレイクを抱えると、盾で防ぎならアルゴー号へと飛び上がった。
そして、ドレイクは至近距離から、ランサーたちが刻んだ血の滲む眼球に銃口を向ける。


「悪魔は悪魔らしく、地獄に落ちな!」


ドレイクの鉛の弾は魔神柱の瞳を正面から捉え、文字通り、目を潰した。
大量の血液のような液体が眼球からあふれ出す。

そして、その液体とともに魔神柱は消失し、後にはイアソンとメディアが揃ってアルゴー号の甲板に横たわっていた。怒濤のアーチャーの攻撃ももちろんだが、魔神柱とメディアではあまりにも攻撃力が足りなかったのだ。


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