北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナムII−1


早速、アーチャー2騎がいるという街へ行くため、馬を替えてデミングを後にすることになった。
昨晩同様、アーサーとジェロニモが御者台に座り、幌の荷台に唯斗と立香、マシュ、ナイチンゲール、ラーマが乗っている状態で東へと街道を進む。

乾いたステップ気候の暑さの中、揺れる荷台は決して居心地の良いものではなく、礼装がなければとっくに体調を崩していただろう。

デミングに着いたのは早朝のことだったが、そこからさらに半日かけて到着したのが、現代の車であれば7時間ほどの距離になる、テキサス州ラボックだった。
ラボックはすでに炎上しており、到着したときには襲撃の真っ最中だったが、なんとか火中からサーヴァントたちを救出し、敵を掃討し、合流を果たした。

やはりアーチャーの片方はロビンフッドで、当然ながらカルデアとは記憶を共有しておらず記録もほぼ共有していないようだったが、サバサバとした性格であることもあって問題はないだろう。

もう一人のアーチャーはビリー・ザ・キッド、西部劇の象徴的な人物であり西部開拓時代の伝説のアウトローである。
英国のアウトローと米国のアウトローが揃っているということは、まさに奇跡のようなものだ。とはいえ、ビリーは実際に生きていた実在する人物であるため、その点は大きく異なる。

1848年、カリフォルニア州の成立とともにゴールドラッシュと呼ばれる莫大な金鉱山の開発が始まり、それにともなって西部での成功を夢見て多くの人々が西部開拓に乗り出した。そんな19世紀後半に21人を殺害したとされる人物だ。のちに義賊として描かれたことで、歴史の浅いアメリカにあってヒーロー的な人気を博するに至る。

ロビンフッドとビリーはこの街で火薬などを集めていたらしく、まさにレジスタンスといった感じの活動をしていた。ジェロニモと合流したことで直接戦力となったが、ロビンフッドは「他にも思い当たるサーヴァントが、まァ、いるっちゃいるんですわ」と煮え切らないことを言った。

今は少しでも多くの味方が必要だと、カルデア側も同意の上、夜を明かしてからさらに東へと進みダラスに到達。
そこで、なんと第一特異点・第二特異点に続いて三度目の登場となるエリザベート・バートリーと合流、なぜかブロードウェイでの活躍を夢見るアイドルとして活動するためにもまずはこの戦争を終わらせるということで、立香の下で一行に加わることになった。

ひどい歌声で敵を疲弊させるのは第一特異点でも目撃した戦い方だったが、そこにまさかの人物が加わることになる。

ロビンフッドの目撃情報を頼りにさらに東へと進み、ルイジアナ州アレクサンドリアに至ると、今度はハリウッドでの活躍を夢見る女優としてネロがひどい歌声を響かせていた。
皇帝ネロの歌声がひどかったのは伝説通りであるため驚きはないが、特異点で生前の人物として協力した者がサーヴァントとなっているケースは初めてだったため、そちらに驚きがあったのは確かだ。

エリザベートは特異点間の出来事のためか完璧に記憶を共有していたが、ネロはさすがに覚えていなかった。とはいえ、ネロは「なんだか懐かしい気がする」という曖昧な理由で協力を受けて入れ、ネロも仲間に加わった。
そこでケルトからの刺客として、アルスター物語群に登場するフェルグスが現れ戦闘となったが、さすがにこちらはサーヴァントが多かったため、強敵であっても倒すことに成功した。サーヴァントと合流しつつ敵のサーヴァントを減らせたことは上々の結果だが、一方でかつてないほどの強敵が敵に揃っていることがだんだんと現実的な懸念となりつつあった。

とにもかくにも、ラボックからアレクサンドリアまではかなりの強行軍だったことや、西の森に霊脈があるとのことで、ようやくそこで夕暮れとともに休憩となる。

すっかり大所帯となった一同が会する最後の夜になろうとしていた。


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