北米神話大戦イ・プルーリバス・ウナムII−2
巨大な樹木が茂る森の中、開けた場所にターミナルポイントが設置され、ある程度物資の供給を受けられるようになる。
また、ロビンフッドが手早く焚火を用意してくれたおかげで火も用意され、急速に暗くなった空の下でも明るくそれぞれが照らされる。
ロビンフッドに対してエリザベートがマントを敷物として使うべく提供するよう圧力をかけているのを横目に、唯斗は焚火にあたる立香に話しかける。
「立香、ランサーは呼び出せるか」
「あ、そうだね、試してみる」
「俺もディルムッドを試す」
召喚サークルが設置されたことでカルデアのサーヴァントも呼び出せるようになったが、霊基が同じだと召喚できないのではないか、それが唯斗の見立てだった。
応じた立香が「ランサー」と呼びかけると、すぐにランサーが立香の隣に現れる。戦闘ではないことを理解して首をかしげた。
「お?どうしたマスター」
「ランサーが呼び出せるってことは…」
「やっぱ、この特異点にいるクー・フーリンはオルタ化してる可能性が高いな」
「…あぁ、俺がいンのか。しかもオルタ化して」
ランサーは唯斗たちの意図に気付いたようで、顔をしかめる。自身の悪性が前面に出た姿など、確かに見たいものではない。
様子を見守っていたロマニも通信で会話に加わった。
『やはり、カルデアのクー・フーリンとは霊基が異なるクー・フーリンがいると見ていい。多くのクラス適性を持つ英霊だけど、アメリカを滅ぼそうとするなんて、やっぱりバーサーカーなんじゃないかな』
「俺も同意するぜ。さすがに、まともな状態でわざわざ国を滅ぼそうとなんてしねェさ。クソつまんねェからな」
本人が言うならそうなのだろう。分かりやすい英霊であるため、唯斗たちでも十分分かっていたことではあるが。
立香がランサーを戻してから、唯斗もディルムッドの召喚を試すことにした。
「ディルムッド……やっぱだめか」
今度は反応がなく、召喚サークルが起動しなかった。やはり同じ霊基だと召喚できないらしい。
『うん、こちらでも召喚術式が作動しなかったことを確認したよ。唯斗君の予想通り、霊基がまったく同じサーヴァントは同じ空間に召喚できないようだ。恐らく、ロビンフッドやエリザベートも、カルデアの方は召喚できないはずだ』
「ランサーを召喚できないのは少し厳しいけど…仕方ない、アキレウスに槍要員になってもらうしかないか」
『特異点のディルムッドを倒すまではそうするしかない。とりあえず今は休憩だ、食事をして、それからこのあとの計画を立てる。メリハリが大事だよ』
「了解」
そこでいったん通信を切って、ロマニの言葉通り休憩に入ることにした。
立香はマシュとともに歩いてみるようで、休憩なのに、とは思いつつ、立香なりの落ち着き方なのだろうと放っておいた。
唯斗も焚火を囲むサーヴァントたちの間に座ろうとしたが、その前に、アーサーが肩を叩く。
「マスター」
「?どうした?」
「ディルムッド殿がいない分、咄嗟に君を守れる要員が不足する。今までよりも僕が近くにいるようにするよ」
「…そうだな。あのデンバーの要塞も、立香とサーヴァントとの間のパスを遮断してたから、そういう魔術を使うキャスターとの会敵も考えられる。同行してるサーヴァントであるアーサーには近くにいてもらった方がいいか」
アーサーは微笑んで頷いてから、「見回りをしてくるよ」と言って森の暗闇に紛れていった。それを見送ってから、唯斗は焚火の輪に入ってロビンフッドの隣に座る。なんだかんだカルデアで話すことが多いサーヴァントだったこともあって、癖のようなものだったが、記憶を共有していないロビンフッドは少し驚いていた。